高山植物の魅力(73)、イワギキョウ(岩桔梗)

ビーグル号の航海日誌 2012年09月09日 10:52

110812イワギキョウ@エコカフェ(幌尻岳).JPG日中は暑さが続きますが、夜にもなると草むらからは虫の音が聞こえてきます。夏山も終わり、高山では秋の気配がしているといいます。昨年の夏登った北海道日高山脈主峰にある幌尻岳(標高2052m)山頂付近の尾根でイワギキョウが咲いていました。天候はやや雲が出ていて寒かったですがよい山行ができました。[2011年8月12日撮影:幌尻岳@澤尚幸]

イワギキョウ(岩桔梗、学名:Campanula lasiocarpa Cham.)はキキョウ科ホタルブクロ属の多年草。分布は本州中部地方以北、北海道、国外では北東アジアから北アメリカに広く、高山帯や亜高山帯の砂礫地に自生。草丈は5pから10pほどで根生葉は束生し、葉身1.5pから5pほどのへら形で突起状の鋸歯がつき葉先は尖ります。茎葉は互生し無柄で細く疎らです。  
花期は7月から8月頃で、前年の根生葉腋から花茎を伸ばし、先に紫色から淡紫色の花を1個から数個を横向きに咲かせます。花冠は無毛で萼片には鋸歯がつきます

この仲間にはチシマギキョウが知られています。花は横向きからやや下向きにつき、色も蒼紫色から赤紫色で、花冠の内裂片に長毛が生える、萼片は全縁で基部に付属体がつくといいます。見分けは容易そうですが、写真ではわずかに萼片が長いのが分かる程度で確認しきれませんね。


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高山植物の魅力(72)、キヌガサソウ(衣笠草)

120728ツマトリソウ@エコカフェ(白馬岳).JPGこの夏に白馬岳(標高2932m)に挑戦したのですが、天候に恵まれず、白馬大雪渓を越えて急登に入ったところで体調も考慮し撤退を余儀なくされました。大雪渓は天然の冷蔵庫のようで全体がひんやり冷えていました。下山途中は余裕があったので少し高山植物を観察することができました。キヌガサソウが見事に花を咲かせていました。[2012年7月28日撮影:白馬岳@中村敏之]

キヌガサソウ(衣笠草、学名:Paris japonica (Franch. et Savat.) Franch.)はユリ科ツクバネソウ属の多年草。日本固有種。分布は本州中部地方以北の日本海側の山地帯から亜高山帯に及び、雪解け後の湿った林内や林縁に自生。草丈は30pから80pほどで、葉は6枚から11枚ほどが茎頂に輪生し、葉身20pから30pほどの倒卵状楕円形から長楕円形で全縁で葉先が尖ります。
花期は6月から8月頃で葉が輪生する茎頂から花柄を伸ばし、一株に一輪の大きめの白い花を咲かせます。花は径約7pで、花弁に見えるのは外花被片(萼片とも)で葉と同数白色から紅紫色、薄緑色に変化します。その内側にやはり葉と同数の白い糸状の内花被片(花弁とも)、雌蕊花柱は5本から8本、雄蕊は6本から13本とバラつきがあります。

エコカフェ草花教室でも勉強しましたが花の構造は複雑ですが、もともとは葉が進化したものであるといいます。また、バラ(薔薇)やツバキ(椿)など八重咲きの花の花弁は雄蕊が変異したものなのです。こちらは人の手による園芸品種に多いのですが。


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高山植物の魅力(71)、ハナチダケサシ(花乳茸刺)

120728ハナチダケザシ@エコカフェ(白馬岳) .JPG先に紹介したトリアシショウマアワモリショウマアカショウマの変種ですが、他にもハナチダケサシ、チダケサシ、オオチダケサシ、ハチジョウショウマ、ミカワショウマ、フジアカショウマ、ヤクシマショウマ、シコクトリアシショウマなどが知られています。地域変種が多いのも面白いです。ここではハナチダケサシを紹介します。[2012年7月28日撮影:白馬岳@中村敏之]

ハナチダケサシ(花乳茸刺、学名:Astilbe thunbergii (Sieb. et Zucc.) Miq. var. formosa (Nakai) Ohwi)はユキノシタ科チダケサシ属の多年草。120728ハナチダケサシ葉@エコカフェ(白馬岳) .JPGアカショウマの変種。分布は本州中部地方の山地から亜高山帯の日当たりのよい草地、林内や林縁に自生。草丈は40pから70cmほどで、葉は互生し3回3出複葉、小葉は葉身約10pほどの卵形で葉縁に不規則な重鋸歯がつき、葉先が尖ります。特に頂小葉は尾状に尖ります。 
花期は6月から8月頃で茎先に円錐花序を伸ばし、白色の小さな花を密に咲かせます。花序は先が垂れないのが特徴です。小花の花弁はへら状で雄蕊の倍もあり、花弁5枚、雄蕊10本、雌蕊2本。果実は刮ハで熟すと下部が裂け種子が散布されます。

ハナチダケサシの名前はチダケサシに比べ花が大きいことによるそうです。ならばチダケサシの名前の由来はというと、長い花茎に乳茸というキノコを刺して持ち帰るために使ったことによるという。ふーんですね。


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ゼンマイ(薇)は山菜の代表

ビーグル号の航海日誌 2012年09月08日 18:31

120728ゼンマイ@エコカフェ(奈良).JPGこの夏の奈良・京都視察では炎天下の中、春日山散策に挑戦をしました。この山の森は例外なく鹿の食害に会っているようでした。そんな中、わずかに生えていたものの中にゼンマイがありました。[2012年7月28日撮影:奈良・京都視察@山崎]

ゼンマイ(薇、学名:Osmunda japonica Thunb.)はゼンマイ科ゼンマイ属の多年生シダ植物。分布は北海道、本州、四国、九州、樺太、朝鮮半島、中国など広く、平地から山地の斜面や谷筋などに自生。根茎は太く射上し、葉は2回羽状複葉、葉身は50pから100cmほど、葉は栄養葉と胞子葉の2形で胞子葉のほうが長い、新芽は渦巻き状で綿毛に包まれ伸び、葉柄基部に杔葉がつきます。栄養葉の羽片はつやがなく広楕円形で先が丸い。胞子葉は初夏に枯れるという。

若葉は山菜として佃煮、お浸し、胡麻和え、煮物などに調理され美味しく食べられています。韓国料理に欠かせないゼンマイのナムルもお馴染みですよね。


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海浜植物、モクビャッコウ(木白虹)

ビーグル号の航海日誌 2012年09月06日 01:07

120722モクビャッコウ@エコカフェ(久高島).JPG久高島の思い出。女神たちが禊ぎを行うための神聖な井戸、ヤグルガーは島の北西に伸びる海岸の断崖下の岩穴に水をたたえています。周囲にはアダンクサトベラ、ハマイヌビワ、ホソバワダンソナレムグラ、モクビャッコウなどの海浜植物が繁茂しています。[2012年7月22日撮影:沖縄視察@阿部]

モクビャッコウ(木白虹、学名:Crossostephium chinensis (L.) Makino)はキク科モクビャッコウ属の常緑小低木。絶滅危惧U類(VU)。分布は小笠原諸島、南西諸島トカラ列島以南、台湾、フィリピン、中国南部に及び、海岸の日当たりのよい石灰岩地に自生。樹高は30pから80pほどで、茎はよく分枝、葉は互生し枝先に集生、葉身2pから5pほどの倒披針状へら形で全縁か先端が深裂。茎や葉裏表に灰白色の短い軟毛が生えます。
花期は10月から12月頃で枝頂に総状花序をだし、たくさんの小さな黄色い頭花を咲かせます。頭花は径約5oで全て筒状花からなります。

最近では護岸工事などの影響で個体数を減らしているそうです。海岸で見るととても目立つ存在ですよ。


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舞浜アンフィシアターご招待

ビーグル号の航海日誌 2012年09月04日 23:00

120904_2114~01_0001.jpg何気なく応募したTV TOKYOの「プレミアム音楽祭2012」、招待され舞浜アンフィシアターまで収録コンサートまで出掛けた。
舞浜アンフィシアターは東日本大震災まではシルク・ドゥ・ソレイユのサーカス・ショーが行われていた施設である。震災でショーは中止され、コンサート施設に生まれ変わった。
今日がこけら落とし。
懐かしい音楽ばかりで会場の観客もそれ相応の年恰好をしていた。
南こうせつ、山本コウタロー、太田裕美が一番バッター。続いて、小椋佳、岩崎宏美、沢田知可子、島谷ひとみ、原田真二、植村花菜。120904_2115~01_0001.jpg

原田真二さんとは、エコカフェは2006年に東鳴子温泉で「山守り湯治音楽会」を開催したことがあります。森と音楽、楽しかったですね!

帰路は東京ディズニーランド帰りの若者たちにもみくちゃにされました。舞浜駅までネオン灯が異様に華やかで、女の子たちが多いのには驚きました。


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立山連邦の想い出を

ビーグル号の航海日誌 2012年08月30日 09:00

080711道程@エコカフェ(立山雷鳥エコツアー).jpg昨夜はエコカフェ事務局の阿部さんを囲んでの誕生会がありました。
安らぐ一時でもありました。
立場は違っても気持ちは一つなんだなと感じられる場が嬉しいですね。
みんなで登った立山連邦はやはり美しいです。
凛と張りつめた澄んだ空気。
無音の静寂さ。
鼓動と息遣い。
080711朝日@エコカフェ(立山雷鳥エコツアー).jpg080711夕日@エコカフェ(立山雷鳥エコツアー).jpg山にはいろんな表情がある。
私たちにもいろんな表情があります。

写真(道程、夕日、薗ゥ日)


関連報告書(立山雷鳥エコツアー)⇒
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ヒマワリ(向日葵)は

120803ヒマワリ@エコカフェ(佐渡島) .JPG佐渡島1日目。佐渡トキ保護センターの駐車場脇にヒマワリが見事な大輪を咲かせていました。日差しが厳いく降雨が少ないようでうなだれているようでした。[2012年8月3日撮影:佐渡島エコツアー@阿部]

ヒマワリ(向日葵、学名:Helianthus annuus L.)はキク目キク科ヒマワリ属の一年草。原産地は北アメリカ。日本全国で栽培。草丈は2mから3mほどで、茎は直立し、葉は対生から互生で有柄、葉身約20pの心臓形で葉縁には粗鋸歯があり、葉の両面に気孔がりが葉裏の方が多い。花期は7月から9月頃で茎頂に径約20pほどの頭状花を咲かせます。花は外輪に黄色い舌状花、内側に筒状花がつきます。種は搾油しヒマワリ\油として利用されます。

ヒマワリの花芯には螺旋状の配列としてヒボナッチ数列が出現します。時計回りと反時計回りの2方向があって、対数螺旋になるという。実際には21本と34本、34本と55本になるそうです。何とも集蜜した種子は美しい紋様をつくりだしているのですね。


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タグ:外来種
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ヨウシュヤマゴボウ(洋酒山牛蒡)の生存戦略は

ビーグル号の航海日誌 2012年08月29日 01:19

ヨウシュヤマゴボウ@エコカフェ.JPG910ヘクトパスカルの巨大台風15号の影響が心配されます。このところ街中の空地などでよく見かける植物のひとつにヨウシュヤマゴボウがあります。明治時代初期に日本に移入し、各地で雑草化しています。[2011年8月20日撮影:渋谷区内空地@山崎]

ヨウシュヤマゴボウ(洋酒山牛蒡、学名:Phytolacca americana L.)はナデシコ目ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草。有毒植物。帰化植物。原産地は北アメリカ。草丈は1mから2mほどで根は太く長い。茎は紅紫色で直立しよく分枝、葉は葉身10cmから30cmほどの長楕円形で先は尖ります。葉は秋には紅葉します。
花期は6月から9月頃で葉腋から総状花序を伸ばし、紅色を帯びた白い花をたくさん咲かせます。葯は白色で心皮は合着。果実は径約7mmの扁平球形の液果で黒紫色に熟します。果汁は染料にもなり、衣服や皮膚につくとなかなか落ちません。

ヨウシュヤマゴボウの茎や葉、特に根には有毒成分フィトラカキシンなどが含まれることで外敵から防御していますが、果実には少量しか含まないため鳥などに食べられ種子を散布してもらうといった生存戦略を取っています。凄いやつです。しかも、小さな植物体でも花を咲かせ結実させることができるため、繁殖力は旺盛であると見なされます。あっぱれです。


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メキシコマンネングサ(メキシコ万年草)は旺盛

ビーグル号の航海日誌 2012年08月28日 09:37

メキシコマンネングサ@エコカフェ.JPGこの夏の茹だるような暑さにも負けず、アスファルトの窮屈な隙間で辛抱強く耐えている。文句も言わずただ命を繋いでいる。メキシコマンネングサは身体は小さいが凄い奴です。[2011年6月24日撮影:東京港区路地@田辺]

メキシコマンネングサ(メキシコ万年草、学名:Sedum mexicanum Britton)はバラ目ベンケイソウ科マンネングサ属の多年草。帰化植物。原産地は不明。メキシコから観賞用として日本に移入したらしく、本州関東以西、四国、九州の道端や空地で野生化しています。草丈は10cmから15cmほどで、茎は地表を這いよく分枝し、葉は4輪生で無柄、葉身13mmから20mmほどの線状楕円形で多肉質です。花期は4月から5月頃で、花茎は直立し、茎の先に集散花序をだし、20個から40個の黄色い小さな花を咲かせます。花は径約8mm、萼片、花弁ともに5枚、雄蕊10本。群生する場合は黄色い絨毯のようでたいへん美しいです。

この仲間には中国、朝鮮半島が原産地のツルマンネングサ、本州東北地方南部以南から南西諸島、中国、朝鮮半島に広く自生するコモチマンネングサ、九州南部から沖縄に自生するコゴメマンネングサ、本州関東地方から九州の太平洋側と京都府以南の日本海側の海岸O岩場に自生するタイトゴメ、本州から九州の山地の岩場に自生するマルバマンネングサが知られています。


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サルオガセモドキ(猿尾枷擬)は変わり者

ビーグル号の航海日誌 2012年08月27日 00:23

100505サルオガセモドキ@エコカフェ.JPG小笠原父島の中央山(標高319m)山腹の森でムニンヒメツバキの枝にひっかったサルオガセモドキを紹介しましょう。名前に「モドキ」とつくのは地衣類のサルオガセに似ているが全く異なる種子植物に分類されるためという。[2010年5月5日撮影:小笠原エコツアー「ケータ島沖(聟島列島)と小笠原固有植物の森をめぐる旅」@山崎]

サルオガセモドキ(猿尾枷擬、学名:Tillandsia usneoides L.)はパイナップル科チランジア属の根が退化した気生植物分布は北アメリカ東南部から南アメリカ中部に及び、木の枝などに着生し垂れ下がります。草丈は最大5m以上、根は退化し、ひも状の細い茎は二叉状によく分枝し、葉身は2pほどの線形。茎、葉ともに表面は銀白色の毛状の小鱗片で覆われるという。この小鱗片は空気中の水分を吸収し体内細胞に取り込む働きをしているそうです花期は4月から5月頃で、茎頂に花序をだし、披針形の苞葉に包まれた径約3mmの極小の花を咲かせます。花は黄緑色で萼片3枚、花弁は目立たないという。果実は長さ15oほどの円柱状線形の刮ハです。

サルオガセモドキは小笠原のほか、沖縄以南の森でも見られるというが、いつ、どのように移入したかはよく分かっていないようです。いずれにしても気生植物が生存するためには空気中に水分が必要であることから、この条件にかなっているということです。しかし、乾燥がちな父島列島では大きく育つことは難しいのではないでしょうか。


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イオウノボタン(硫黄野牡丹)は夢

ビーグル号の航海日誌 2012年08月26日 20:46

120624イオウノボタン@エコカフェ.JPGこの夏、麻布十番祭りで小笠原特産品も出展し、松崎さんも大活躍のようです。小笠原を思い出しながら、許可なく上陸はできない北硫黄島のみに自生しているイオウノボタンを紹介します。小石川植物園で保護増殖しているものを撮影したものです。[2012年6月24日撮影:小石川植物園@山崎]

イオウノボタン(硫黄野牡丹、学名:Melastoma candidum D. Don var. alessandrensis S. Kobayashi)はフトモモ目ノボタン科ノボタン属の常緑低木。ノボタンの変種で北硫黄島固有種。絶滅危惧U類(VU)。120624イオウノボタン花@エコカフェ.JPG120624イオウノボタン葉@エコカフェ.JPG分布は北硫黄島、火山島の中腹(標高400m)以上の雲霧帯にあたる斜面地に群生。樹高は1mから2mほどで、葉は互生し、葉身は3pから5pほどの楕円形、全縁で先が尖ります。葉は厚く、葉表に白い毛が密生し、葉基部から葉先に向かって葉脈が5本が走ります。花期は6月から8月頃で、枝先の葉腋に桃紫色の5弁花を咲かせます。

小笠原諸島では北硫黄島のイオウノボタンのほかに、父島のムニンノボタン、母島のハハジマノボタン、南硫黄島のノボタンが知られています。ノボタンも環境適応しながら分化・進化しつつあるようです。


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ナチシダ(那智羊歯)は北上中

ビーグル号の航海日誌 2012年08月23日 00:10

120728ナチシダ@エコカフェ(春日山).JPG7月28日、猛暑の中、奈良県の天然記念物春日山原始林を周遊コースに沿って散策、森の林床は鹿の食害のため褐色に乾いています。疎らにある緑はシカが食べない有毒植物が多いようです。ナチシダもそのひとつで、小さな渓流沿いに多く見られます。[2012年7月28日撮影:奈良・京都視察@山崎]

ナチシダ(那智羊歯、学名:Pteris wallichiana Agard.)はイノモトソウ科イノモトソウ属の南方系の大型常緑性シダ植物。120728ナチシダ群生@エコカフェ(春日山).JPG120728ナチシダの胞子蓑群@エコカフェ(春日山).JPG分布は熱帯・亜熱帯アジアに広く、国内では本州千葉県以西、四国、九州、南西諸島に及び、山地の湿潤な林下に自生。乾燥の厳しい瀬戸内海沿岸地域などには自生しない。近年、温暖化の影響で分布域を北上させているそうです草丈は1mから2mほどで、葉は1葉が基部で3枝(1対の側羽片と頂羽片に相当)し、左右の側枝の外側の最下片が分枝し後ろに伸びます。全体として五角形に見えるのです。各枝とも2回羽状深裂、裂片は長さ1.2pから2pほどのやや鎌状の線状被針形、鋭頭から鈍頭。片縁に微鋸歯がつきます。胞子嚢群(ソーラス)は裂片裏の片縁に連続し、この裂片は鋸歯がなく内側に巻きます。イノモトソウのソーラスのつき方と同じですね。

ナチシダは全草にフラボノイドや種々のセスキテルペンなどの毒成分を含むので、鹿の食害から免れていると理解されます。有毒植物にはアセビシャクナゲなどの他にもウラシマソウコバイケソウヤチトリカブトなどがあります。


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ヒトリシズカ(一人静)

ビーグル号の航海日誌 2012年08月18日 17:49

100619ヒトリシズカ@エコカフェ(川苔山).JPG一昨年前に奥多摩にある川苔山(標高1363m)に登った時に湿り気のある林縁でヒトリシズカがひっそりと花序をつけていました。葉は十字対生のはずが、右上の葉が2葉になっています。奇形なのでしょうか。[2010年6月19日撮影:川苔山@山崎]

ヒトリシズカ(一人静、学名:Chloranthus japonicus Chloranthus)はコショウ目センリョウ科チャラン属の多年草。分布は北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部に及び、山地の林内や林縁などの木陰に自生。群生することが多い。草丈は10cmから30cmほどで、根茎が地を這い、茎は直立。葉は光沢があって茎上部に4枚が輪生状に互生し、葉身は8cmから10cmほどの広卵形から楕円形で葉縁に鋸歯がつき、葉先は尾状に尖ります。
花期は4月から5月頃で、茎の先に1本の穂状花序をだし、小さな花をたくさん咲かせます。花は裸花でがく片も花弁もなく、白い糸状の雄蕊3本と緑色の雌蕊1本からなります。

名前の由来は花の咲く可憐な様子を静御前の舞う姿になぞらえたものです。近縁種の北海道から九州の山野に自生するフタリシズカは少し遅れて花を咲かせるそうです。また本州近畿地方以西から九州、朝鮮半島、中国に分布するキビノヒトリシズカは穂状花序が一回り大きいそうです。


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タグ:広域種
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野生放鳥トキ死亡から学ぶ

ビーグル号の航海日誌 2012年08月17日 09:08

120803ミドリ@エコカフェ.JPG昨日の各紙報道によると、環境省は16日、佐渡島で放鳥された野生トキ3雌歳が亡くなっていた発表したとあった。死因は不明であるが、タヌキやイタチなどの天敵による食跡があったという。
この野生トキは今シーズン3羽の雛を育てた母親でこれからトキの野生復帰、定着を担うことが期待されていた矢先のことである。
自然、野生とは「優しくも厳しいもの」といえる。トキは佐渡島における生態系ではあまり弱い立場にあるとは考えられていない。カラスが卵を持ち去ったりすることはあるらしいが、オオタカ、タヌキに加えてこの島に本来生息しないが人が持ち込んだイタチくらいである。
120803キン@エコカフェ.JPG今月初旬に佐渡トキ保護センターを訪ねた際に長田さんからいろいろとトキについて教えていただいたことを思い出しました。私たちが「いかに共生するか」ということを。

トキの森の展示館では一般の方がたもトキの過去、現在について学ぶことができます。写真は「キン」と「ミドリ」です。


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アカショウマ(赤升麻)は基本種

ビーグル号の航海日誌 2012年08月16日 21:33

100619アカショウマ@エコカフェ(川苔山).JPG先に紹介した佐渡島で見たトリアシショウマ(鳥脚升麻)はアカショウマ(赤升麻)の変種にあたるそうです。植物分類学上はアカショウマのほうを基本種としています。これはアカショウマが先に発表されたことによるのでしょうね。そこで似ているものはそこから全て出発して分類する必要があるということです。ここでは一昨年に寺中さん、玉木さん、川崎さんらと登った奥多摩川苔山で見たアカショウマを紹介しましょう。[2010年6月19日撮影:川苔山@阿部]

100619川苔山山頂@エコカフェ.JPGアカショウマ(赤升麻、学名:Astilbe thunbergii Miq.)はユキノシタ科チダケサシ属の多年草。分布は本州東北地方南部以南から近畿地方、中国地方と四国に及び、太平洋側の山地の落葉広葉樹林の林縁や草地などに自生。草丈は50pから80pほどで、葉は互生し3回3出複葉、小葉は葉身4pから10pほどで卵形から狭卵形で葉縁に浅重鋸歯がつき、葉先が尾状に尖ります。
花期は6月から7月頃で茎先に細長い円錐花序をだし、トリアシショウマより小さな白い径約8mmの花をたくさん咲かせます。花弁は5枚でへら形、雌蕊2本、雄蕊10本で葯も白い。花序は最下部で分枝するくらいでほとんど分枝しないという。果実は刮ハでで熟すと下部が開裂し種子を散布します。

この仲間は地方変異が多いらしいが、写真の個体は円錐花序の最下部でよく分枝している様子が確認でします。アカショウマは名前の由来にあるように茎がしばしば赤味を帯びるというが、赤味を帯びることのない個体もあるという。この仲間の同定は厄介らしいです。


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タグ:日本固有種
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辺野古は近くて遠い!?

ビーグル号の航海日誌 2012年08月15日 01:36

120721大浦湾越しに辺野古岬を@エコカフェ(沖縄).JPG120721大浦湾を@エコカフェ(沖縄).JPG先月に沖縄を視察した際に名護市の大浦湾越しに辺野古岬が眺望できる場所まで足を伸ばしました。那覇市内から沖縄自動車道を利用して宜野座インターで下りて、さらに県道329号を走らせました。

120721キャンプ・シュワブ@エコカフェ(沖縄).JPG辺野古集落を過ぎると右手に、在日米軍海兵隊基地キャンプ・シュワブ(Camp Schwab)があります。そのまま道路をひた走るとトンネルを通過し、大浦集落の近くまで行ったところで砂浜まで下りた立った。沿道には基地反対の看板もありました。

大浦湾から辺野古岬に広がる海は透明な蒼をたたえ、夏の日差しを浴びてギラギラと輝き眩しかった。背後にはモクマオウリュウキュウマツオオハマボウ(ハマユウ)などの防風林があるのですが、太陽とは反対の方向にある。そこからリュウキュウアブラゼミの「ジュクジュクジー」と低くなく声が重なり合っていっそうの暑さを誘います。

120721看板@エコカフェ(沖縄).JPGこの海は大川などいくつかの河川が流れ込み、豊かな藻場が広がり、ジュゴンが生息しているという。ジュゴンはクジラと同じで陸から海に戻った哺乳類なのです。大食漢で藻場に広がるアマモ、ウミヒルモなどの海草をどっさりと食べます。それら海草も進化の過程で陸から再び海に戻ったのですよ。

道路標識に「うるま市」とあったのが気持ちを重くさせてしまった。2005年4月1日には具志川市、勝連町、与那城町、石川市が合併し、うるま市が誕生したという。「うるま」とは珊瑚の島という琉球を意味する方言。しかし、遠く地球の反対側のボリビアにも「ウルマ」という地名があります。

ああ、島人(シマンチュー)の歴史の闇に閉ざされたパンドラの箱を開いたような。ニライカナイから大きなエネルギーが流れてくるような。普天間飛行場の移設問題はすっかりこじれ、その上、普天間飛行場へのオスプレイ配備問題までもが巻き起こっている。私たちは世界に誇れる平和を愛する国民になりたいものです。


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海浜植物、グンバイヒルガオ(軍配昼顔)

ビーグル号の航海日誌 2012年08月14日 21:20

120721グンバイヒルガオ@エコカフェ(沖縄).JPG沖縄諸島やや宮古列島、八重山列島など亜熱帯気候下にある島嶼の海岸ではグンバイヒルガオがよく見られます。花は季節にかかわらず一年を通じてみることができるようです。沖縄ではハマカンダーと呼びます。辺野古岬の対岸の大浦の砂浜はやたら静かで、あちらこちらで花が咲いていましたよ。[2012年7月21日撮影:沖縄視察@阿部・山本・田辺]

グンバイヒルガオ(軍配昼顔、学名:Ipomoea pes-caprae (L.) R.Br.)はナス目ヒルガオ科サツマイモ属の多年草。分布は世界の熱帯から亜熱帯に広く、日本では九州宮崎県以南、南西諸島に及び、海岸の砂浜に自生。120721辺野古近くて遠いな@エコカフェ(沖縄).JPG草丈は匍匐するため足首ほどで、葉は互生し、葉身は3pから8pほど広楕円形(軍配形)で先が凹む。花期は夏期を中心に通年、葉腋から長い花柄を伸ばし、径5、6pほどの淡紫色の漏斗状の花を咲かせます。果実は径約2pの扁球形の刮ハで熟すと下側が開裂し、中の種子を散布します。

種子が海流散布するため、日本列島を北上しては漂着地で芽吹くのだが冬季を超えることはできず定着することはなかった。ところが、近年、地球温暖化の影響であろうか、大分や高知の海岸でも定着しつつあるようです。また、小笠原諸島では繁殖力の旺盛な外来種として小笠原固有種への圧迫に注意を払う必要がありそうです


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高山植物の魅力(68)、ミヤマセンキュウ(深山川芎)

080711ミヤマセンキュウ@エコカフェ(立山雷鳥エコツアー).jpgお盆に里帰りしている都会暮らしの人も多いのではないでしょうか。立山室堂平のみくりが池近くの遊歩道脇で写真におさめたセリ科の植物の花が気になっていたので調べてみました。セリ科の植物の同定は難しいのですが、ミヤマセンキュウらしいです。[2008年7月11日撮影:立山雷鳥エコツアー@阿部]

ミヤマセンキュウ(深山川芎、学名:Conioselinum filicinum (H.Wolff) H.Hara)はセリ科ミヤマセンキュウ属の多年草。分布は北海道、本州中部地方以北と千島列島ウルップ島に及び、亜高山帯から高山帯の林縁や草原などに自生。草丈は40pから70pほどで、茎は中空で直立し分枝、葉は互生し葉柄の基部が鞘状に膨らむ。葉身は約30pの2回3出羽状複葉で小葉は羽状に裂け、終裂片の先が尾状に伸びるという花期は8月〜9月頃で、茎頂に径約6pから10pの複散形花序をだし、径約2oの白色の5弁花をたくさん咲かせます。小花序の苞は糸状で長いという。果実は長径約5oの広卵状の2つの分果で隆条は翼状になるそうです。

セリ科の高山植物はイブキゼリモドキ、シラネニンジン、ハクサンボウフウミヤマゼンコなど多くの種が自生しているため大変ですね。


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タグ:立山 広域種
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オオシラビソ(大白檜曾)は多雪亜高山帯に

110709オオシラビソ@エコカフェ(鳳凰三山) .jpg日本の亜高山緑針葉樹は本州西日本や中部地方では標高1500mから2500mの範囲に分布します。もっとも北海道の東部や北部の風衝帯では海岸付近から葉付近から標高1500mとぐんと低くなります。先に述べたように植生の主役はトウヒ、コメツガシラビソ、オオシラビソとカラマツがあげられます。これに落葉広葉樹のダケカンバミネヤナギミヤマハンノキなどが混生します。
鳳凰三山の一番南側の薬師岳を過ぎると多雪地帯に多いとされるオオシラビソも出現するようになります。[2011年7月10日撮影:鳳凰三山@澤尚幸]

オオシラビソ(大白檜曾、学名:Abies mariesii Mast.)はマツ科モミ属の常緑針葉樹で高木。日本固有種で軽度懸念。110709オオシラビソ幼芽@エコカフェ(鳳凰三山).jpg別名にアオモリトドマツ(青森椴松)とも。分布は本州中部地方から東北地方までと富士山の亜高山帯に自生。中部地方などの多雪地帯などではシラビソと混生。樹高は最大約40mで、樹皮は灰色で平滑、皮目が横長で縞模様ができる。葉は2列がらせん状に立ち気みに密生し枝を隠し、葉身は15mmから20mmほどのやや扁平な線形で先端は丸い。葉表は深緑色で光沢があり、葉裏には軸の両側に1本ずつ白色の気孔帯が目立ちます。
花期は6月頃で、雌雄異花、梢先に集生し、雄花は黄色で密に垂下がり、雌花は暗赤色で直立して咲きます。果実は長径約6cmから9cmほどの先が丸みを帯びた円柱形の球果で、9月から10月頃に黒紫色に熟します。

写真では枝の先端に小さい球状のものが写っていますが、幼芽であってこれが伸びて新たな葉が密生した小枝になるのです。


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