高山植物の魅力(136)、ヤナギラン(柳蘭)

ビーグル号の航海日誌 2014年09月23日 07:22

140913ヤナギラン花@エコカフェ.JPG南アルプス北端に位置する前衝山である入笠山(標高1955m)北東山麓にある入笠湿原や上部の「花園」と呼ばれる斜面地ではゴマナやヤナギランの群生を見ることができます。湿原では花は終わり、「花園」でも花をつける個体はわずか、多くは綿毛をまとっていました。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

ヤナギラン(柳蘭、学名:Chamerion angustifolium (L.) Holub)はフトモモ目アカバナ科ヤナギラン属の多年草。分布は北海道、本州中部地方以北の亜高山帯から山地帯の日当たりの良い草地や礫地、国外ではヨーロッパ、アジア、北アメリカに広く、寒地などに自生。140913ゴマナとヤナギランの群生@エコカフェ.JPG140913ヤナギラン花後@エコカフェ.JPG草丈は100pから150pほど、葉は互生し無柄、葉身5pから15pほどの長披針形、葉縁に微鋸歯。葉裏は帯灰白色です。花期は7月から9月頃、茎先に総状花序をだし、径3、4pほどの紅紫色の花を下から順次咲かせます。花弁4枚、萼片4枚、雄蕊8本、雌蕊頭柱4裂。果実は刮ハ、熟すと開裂し、毛の生えた種子が風散布します。

名前の由来は、細長い葉が柳に似ていて、花が蘭にようであることにあります。この季節、白い綿毛をまとった果実や葉がすでに紅く色づき始めているものもあります。


関連記事(高山植物の魅力(135)、オオバセンキュウ(大葉川弓))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ


続きを読む
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

シシウド(猪独活)は生薬に

ビーグル号の航海日誌 2014年09月22日 23:38

140913シシウド@エコカフェ.JPG入笠湿原から入笠山(標高1955m)に向かう「花園」など湿原周辺でもたくさんの高山植物の花をめでることができます。そんな中にシシウドも点在していたりします。もっとも山中林縁でも目にすることができますが、特徴からオオバセンキュウと見違えることはないでしょう。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

シシウド(猪独活、学名:Angelica pubescens Maxim.)はセリ科シシウド属の大型の一稔性多年草。日本固有種。分布は本州(関東・中部・近畿・中国地方)、四国、九州に及び、山地の斜面ややや湿った場所に自生。140913シシウド花@エコカフェ.JPG草丈は1mから2mほど、茎は太く直立し、中空で有毛、上部で分枝します。葉は互生し、2、3回羽状複葉、小葉は葉両面に毛が生え、葉身5pから10pほどの長楕円形で葉縁に鋸歯、先は急に尖ります。頂小葉の基部は翼状に流れるのが特徴。葉柄基部の鞘は袋状で茎を抱き、小枝の先では若い花序を包む。花期は8月から11月頃、茎先や枝先に複散形花序をだし、白色の花弁が内側に曲がった5弁花をたくさん咲かせます。雄蕊5本、雌蕊花柱1本。花序の柄の長さは3pから18pと不揃いで、総苞片も小総苞片もつかないのが特徴果実は長径6oから10oほどの広楕円形で2個の分果が向き合い、両側に広く薄い翼がつきます。開花までに数年を要し開花すると枯れます。

名前の由来はウドに似ているが猪の餌になるしかないことにあるそうです。太くごつごつした直根を乾燥させたものを生薬「独活(どくかつ)」として頭痛やリューマチ、神経痛、冷え症に効くとしています。


関連記事(高山植物の魅力(104)/ミヤマシシウド(深山猪独活))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ



posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

高山植物の魅力(135)、オオバセンキュウ(大葉川弓)

140913オオバセンキュウ@エコカフェ.JPG南アルプス北端の前衝山である入笠山(標高1955m)の北東山麓にある入笠湿原(標高1734m)を抜けて渓流沿いで見かけたオオバセンキュウ。ピンク色のツリフネソウの花が遺書に咲いていました。湿原や林縁ではシシウドも見られるのですが、葉の形で見分けるのがよいでしょう。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

オオバセンキュウ(大葉川弓、学名:Angelica genuflexa Nutt.)はセリ科シシウド属の多年草。分布は北海道、本州中部地方以北、国外では中国、ロシア、北アメリカに及び、深山から亜高山帯の渓谷沿いなどに自生。140913オオバセンキュウ花@エコカフェ.JPG草丈は60pから150pほど、茎は中空で無毛、節ごとに葉がつく反対側に屈曲し上伸。葉は1、2回羽状複葉、小葉は表裏とも脈上に毛が生え、葉身3pから8pほど、鋸歯に突起状の毛がつく。上部葉柄の基部の鞘は袋状。花期は7月から9月頃、複散形花序、総苞片は無く、小総苞片は数個が目立ち、白色から帯紫色の5弁花をたくさん咲かせます。花弁は外側のほうがやや大きく、先が内曲。雄蕊5本で葯は白色、雌蕊花柱2本。果実は長径4、5oほどの楕円形の分果で幅広の翼がつきます。

近縁種で同じように茎が節ごとに屈曲するものにシラネセンキュウがあるが、全体に小型で小葉の縁が不規則に切れ込み重鋸歯がつき、低地に自生するそうです。高山帯には小型のミヤマセンキュウが知られます。間違えることはないでしょう。


関連記事(高山植物の魅力(68)、ミヤマセンキュウ(深山川芎))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ




posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

高山植物の魅力(134)、ウメバチソウ(梅鉢草)

140913ウメバチソウ@エコカフェ.JPG南アルプス北端に位置する前衝山である入笠山(標高1955m)の北東山麓に展開する小さな湿原。入笠湿原は地元の人たちによりよく保護保存の取組がなされている。この季節、湿原上部斜面地でウメバチソウの花を見ることができます。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

ウメバチソウ(梅鉢草、学名:Parnassia palustris L.)はニシキギ目ウメバチソウ科ウメバチソウ属の多年草。140913ウメバチソウ花@エコカフェ .JPG分布は北海道、本州、四国、九州、国外では台湾、東アジア北部、樺太など広く、高山帯から亜高山帯下部の日当たりの良い湿った草原に自生。草丈は10pから40pほど、根出葉は数枚で有柄、葉身2pから4pほどのハート形、花茎を伸ばし、茎を抱く茎葉1枚をつけます。花期は8月から10月頃、茎頂に径約2pの白い5弁花を1個咲かせます。雄蕊5本、一日1本が立ち上がり、花粉をだす。雄蕊の外側には仮雄蕊が多数つく。果実は刮ハ、熟すと下部が裂け重力散布します。

ウメバチソウ属は世界(北半球)に約50種、日本にはウメバチソウの高山型で仮雄蕊の細裂数が少ないコウメバチソウ、高山型で仮雄蕊が細裂せず腺体がないヒメウメバチソウ、山地型で花弁の辺縁が細裂するシラゲソウが知られます。


関連記事(高山植物の魅力(133)、ホソバトリカブト(細葉鳥兜))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ


続きを読む
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

アイアスカイノデも逞しい

110206アイアスカイノデ@エコカフェ.JPG自然観察会に関八州見晴台に行くことに決めたので、まだまだ冬が残るなか時期に事前調査にでかけたときのことです。イノデに似たちょっと小さめのシダ植物、調べるとアイアスカイノデのようです。[2011年2月6日撮影:関八州見晴台事前調査@阿部]

アイアスカイノデ(学名:Polystichum longifrons Kurata)はオシダ科イノデ属の常緑性シダ植物。日本固有種。分布は本州岩手県以南、四国、九州に及び、平地や低山の林縁や林内などに自生。110206アイアスカイノデ胞子のう群@エコカフェ.JPG110206アイアスカイノデ鱗片@エコカフェ.JPG草丈は30pから60pほど、根茎は塊状、葉を放射状に斜上か直立。葉柄は長く、基部鱗片は褐色に中央部が暗褐色、披針形でほぼ全縁、葉身は狭披針形の2回羽状複葉、葉先は細る。中軸鱗片は糸状で辺毛がつく。ソーラス(胞子嚢群)は小羽片の辺縁寄り、耳垂れ下側に優先的につくのが特徴です。

近縁種で似ているアスカイノデはソーラスが辺縁と中肋の中間につき、イノデは葉柄が短く基部鱗片は明褐色、ソーラスは中間につくことで区別は容易といいます。


関連記事(ホクリクイノデ(北陸猪手)は種間雑種)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ



posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

コバノヒノキシダ(小葉の檜羊歯)は逞しく

ビーグル号の航海日誌 2014年09月21日 20:00

131207コバノヒノキシダ@エコカフェ.JPG岩殿山(標高634m)の岩崖壁や岩場で観察した小さなシダ植物。調べたところオウレンシダかなとも思ったのですが、季節は冬ですから夏緑性シダではあり得ません。どうも常緑性のコバノヒノキシダでよいようです。[2013年12月7日撮影:第18回自然観察会@山崎]

コバノヒノキシダ(小葉の檜羊歯、学名:Asplenium sarelii Hook.)はチャセンシダ科チャセンシダ属の常緑性シダ植物。分布は本州東北地方南部以南、四国、九州、沖縄、国外では台湾、朝鮮半島南部、中国、インドシナに及び、低地から山地の日当たりの良い岩上や石垣に着生。131207コバノヒノキシダ@@エコカフェ(岩殿山).JPG草丈は10pから30pほど、根茎は短く斜上し叢生。葉柄基部の鱗片は黒褐色の線状披針形。葉は紙質で濃緑色から灰緑色、葉身は広披針形から長楕円形の2回羽状複葉、下部羽片はやや短縮、最下羽片は長く卵形。裂片の基部は楔形、先に鋸歯がつく。中軸の溝の中央は盛り上がります。ソーラス(胞子嚢群)は線状楕円形、裂片の中間に1個つく。

近縁種でよく似ているものに葉が深緑色で厚く光沢があって最下羽片がほぼ正三角形のトキワトラノオ、トキワトラノオと交雑種のアイトキワトラノオ、中軸の溝の中央が盛り上がらず陰湿な場所に生えるイワトラノオ、小羽片と裂片の幅が狭く全体に鋭角で中軸の溝の中央が盛り上がらないアオガネシダ、ソーラスが裂片縁につくコウザキシダなどが知られます。手ごわいですぞ。


関連記事(イヌシダ(犬羊歯)は裂片が鋸歯状)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ



posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

大阿原湿原は南東方山麓に

ビーグル号の航海日誌 2014年09月20日 12:19

140913大阿原湿原@エコカフェ (2).JPG入笠山(標高1955m)は南アルプスの北端に位置し、大阿原湿原はその南東山麓(1810m)12haを占めます。ここも入笠湿原と同じような生い立ちを辿っていると考えられます。この湿原に私たちが到着した3時頃には少しの風と静寂ばかりでした。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

大阿原湿原のほうが、規模が大きいのは、流れ込む水量と地形に理由があるのでしょう。140913大阿原湿原ガイド看板@エコカフェ.JPG140913テイ沢@エコカフェ.JPG湿原の出口はテイ沢と呼ばれ、小黒川の支流です。土砂流入もあるため、高層湿原の陸地化がずいぶんと進んでいるようです。シラカンバなどの拠水林もわずかですが認められます。ミズゴケモウセンゴケなどのマットも湿原内に造られた木道からはそれほど発達しているようには思えませんでした。ただし、テイ沢周辺など一帯はモスグリーンが支配していて美しい風景をつくっています。

小黒川は三峰川の支流で戸台川と合流し、黒川となり、美和湖の上流で三峰川に合流、伊那市孤島で天竜川に注ぎます。天竜川は伊那谷断層帯沿い南下していく。伊那谷盆地には河岸段丘や複数の活断層が確認できるそうです。


関連記事(日本最南の高層湿原は)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(1) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ウツボグサ(靫草)は面白い

ビーグル号の航海日誌 2014年09月19日 23:12

140913ウツボグサ花@エコカフェ.JPG入笠山(標高1955m)北東山麓に位置する入笠湿原はコンパクトながら湿生植物だけではなく乾燥化が進む途上にあり草原の植物も観察することができます。ウツボグサはそんなひとつです。9月19日の誕生花、花言葉は「協調性」「優しく癒す」。名前の由来は花穂が弓矢を入れる毛皮や鳥羽根で飾った竹籠でできた靫(うつぼ)に似ていることにあります。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

ウツボグサ(靫草、学名:Prunella vulgaris L. subsp. asiatica(Nakai) H.Hara)はシソ科ウツボグサ属の多年草。分布は北海道、本州、四国、九州、国外では朝鮮半島、中国東北部などに広く、人里から高原の草地や道端などに自生。草丈は10pから30pほど、茎の断面は四角形、葉は対生し、葉身2pから5cmほどの長楕円状披針形、低鋸歯がわずか。花期は6月から8月頃、茎先に長さ3pから8pほどの花穂をだし、紫色の唇形の小花(1個の苞に3個の小花がつく構造)を密に沢山咲かせます。花冠は長さ約2p、上唇は兜状、下唇は3裂し中央裂片には歯牙。雄蕊は長短2本ずつ、雌蕊柱頭は2裂。萼は長さ7oから10oほどの筒状唇形、下唇2裂、上唇は平らで棘状の3歯がつき、苞は扁心形で縁に毛が生えます。花穂は結実すると褐色になります。果実は長さ約1.6oの4分果。萼片に雨滴があたると種子が飛び出します。花後には茎基部から走枝を出して積極的に増殖します。

干した花穂は生薬「夏枯草(かごそう)」といい、ウルソール酸やブルネリンなどの有効成分を含むことから腎臓炎や膀胱炎などに効果があるとされています。近縁種には日本固有種で高山性のタテヤマウツボグサが知られます。


関連記事(キランソウ(金瘡小草)は地獄の釜の蓋とも)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

入笠湿原の小宇宙はやがて

140913入笠湿原アプローチ@エコカフェ.JPG入笠山(標高1955m)の北東山麓にある入笠湿原は、広さこそ1.85haと高層湿原としては小さめ。そこでは、保護増殖活動の甲斐あって、スズランの大群落をはじめ多くの草花を観察することができます。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

入笠山一帯は約3億年前に形成された秩父古生層を基盤とすることから、山頂など基岩が露出している所では緑色石を確認することができます。もっとも、表面には地衣類が着生によってそう見えてしまうこともあるのですが。140913入笠湿原案内看板@エコカフェ.JPG周囲を丘陵に囲まれたような窪地であるため湿原が形成されたものと考えられます。推測するに湿原の形成は最終氷期(ヴィルム氷期)の終わった頃(1万年前頃)から始まったのではないでしょうか。対馬海峡が開き、日本海に暖流が流れ込み、列島には降雨・降雪が増えるようになったのです。現在は亜高山帯に属します。

当初は沼が形成され、土砂や植物痕で埋まり、低層湿原、中層湿原を経て、現在は高層湿原の老年期と考えられています。湿原は乾燥化が進み、はシラカンバ、ズミなどが侵入しています。人の手による保護活動でかろうじて生き長らえているのではないでしょうか。


関連記事(封印された太古の足跡が波浪に洗われ)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ヒガンマムシグサ(彼岸蝮草)は早咲き

ビーグル号の航海日誌 2014年09月18日 23:11

120407ヒガンマムシグサ@エコカフェ (2).JPG房総半島中南部の鋸山山中で見かけたテンナンショウの仲間。調べると葉が展開する前に花が咲くことから、房総に多いヒガンマムシグサであるようです。名前も春の彼岸頃に咲くことに由来します。 [2012年4月7日撮影:第12回自然観察会@山崎]

ヒガンマムシグサ(彼岸蝮草、学名:Arisaema undulatifolium Nakai)はテンナンショウ科テンナンショウ属の多年草。日本固有種。分布は本州関東地方以西、四国、九州に及び、山地の明るい林床に自生。草丈は30pから60pほど、葉は2枚で鳥足状に7片から13片の小葉が展開。小葉は線形から広楕円形、中肋に沿って白斑が入ります。花期は3月から5月頃、花茎を伸ばし、葉展開前に茎頂に紫褐色から緑紫色の仏炎苞をつける。筒部の長さ3pから6.5pほど、口辺部は狭く耳状に開くことがある。付属体は径2oから5oほどの棒状で先はやや膨らむという。

ヒガンマムシグサはナガバマムシグサとも、変種にやはり早咲きのミミガタテンナンショウが知られるが、口辺部が張出す形状(耳形状)になるのが特徴で全体的にやや大きいそうです。


関連記事(マムシグサ(蝮草)の不思議)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

クジャクシダ(孔雀羊歯)はシンメトリーに

140913クジャクシダ@エコカフェ.JPG入笠山山麓に広がる大阿原湿原からゴンドラ山頂駅に至る車両通行規制のある山道脇の崖地直下で念願のクジャクシダの小個体に出逢えました。美しいフォームですぐにそれと分かりました。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

クジャクシダ(孔雀羊歯、学名:Adiantum pedatum L.)はホウライシダ科ホウライシダ属の夏緑性シダ植物。分布は北海道、本州、四国、九州福岡県、国外では朝鮮半島、中国、ブータン、ネパール、北アメリカに及び、山地の林下などに自生。140913クジャクシダ@エコカフェ.JPG草丈は40pから60pほど、根茎は短く匍匐し、葉柄を斜上。葉柄は長さが15pから45pほどで細く硬く、紫褐色から赤紫色で光沢、基部鱗片は披針形。葉柄の先端部は左右に枝を伸ばし、単羽状複葉の羽片を扇状に並べ、各羽片は若葉(帯赤色)では斜上、成長すると先を下垂。小羽片は扇形で上部に幾つかの切れ込みが入ります。ソーラス(胞子嚢群)は裂片上部につき、苞膜は長さが2o前後で白色です。

クジャクシダの名前の由来は、ウラシマソウのように鳥足状に枝を広げ、各枝に羽状複葉の葉がつくさまを孔雀の尾羽に見立てたことにあります。全体としては羽状複葉で、葉の一番下の枝が左右に伸び、それに単羽状複葉の羽片(小葉)がつく、このことを又状仮軸分枝偽又状分枝とも)という。


関連記事(スキヤクジャク(透綾孔雀)は珍しい)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

高山植物の魅力(133)、ホソバトリカブト(細葉鳥兜)

ビーグル号の航海日誌 2014年09月17日 21:06

140913ホソバトリカブト花@エコカフェ.JPG入笠湿原は標高17034m付近に位置し、湿生植物の宝庫でもあります。麓からゴンドラが近くまで通っていますので、小さなお子様連れの方でも容易にアクセスすることができます。そんな湿原からホソバトリカブトを紹介します。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

ホソバトリカブト(細葉鳥兜、学名:Aconitum senanense Nakai)はキンポウゲ科トリカブト属の多年草。日本固有種。分布は本州関東地方・中部地方に限り、高山帯から亜高山帯の日当たりの良い草地などに自生。140913ホソバトリカブト@エコカフェ.JPG草丈は40pから100pほど、茎葉直立し、葉身7pから12pほどで3深裂し、側裂片はさらに細く深裂、葉先は尖ります。葉柄や葉の両面脈上には屈毛が生えます。花期は8月から9月頃、茎先や葉腋から総状花序をだし、青紫色の烏帽子状の花を幾つも咲かせます。花の高さは4p前後、花弁状の萼片5枚、花柄と花に開出毛を密生させるのが特徴という。

トリカブトの仲間には日本に約30種が知られています。ホソバトリカブトは池畔や湿地周辺などやや湿った所を好む傾向があるようです。入笠山の山中林縁ではヤマトリカブトも見られるようです。


関連記事(キタヤマブシ(北山附子)は毒草)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

湿生植物、エゾリンドウ(蝦夷竜胆)は堂々と

140913エゾリンドウ花@エコカフェ.JPG南アルプスの北端に位置する入笠山(標高1955m)、そのなだらかな山麓の窪地に小さな入笠湿原(1.85ha)はある。周囲を鹿避けの柵に囲まれ、湿生植物が保護、増殖されていると聞く。ここでは花盛りのエゾリンドウを紹介します。花言葉は「私はあなたが悲しんでいるとき、あなたをもっとも愛する」だそうです。[2014年9月13日撮影:入笠山予備調査@山崎]

エゾリンドウ(蝦夷竜胆、学名:Gentiana triflora Pall.var. japonica (Kusn.) H.Hara)はリンドウ科リンドウ属の多年草。140913エゾリンドウ@エコカフェ.JPG日本固有種でホソバエゾリンドウの変種。分布は北海道、本州近畿地方以北に限り、山地や亜高山帯の湿地に自生。草丈は30pから100pほど、葉は対生、葉身は披針形、全縁で先は尖ります。花期は9月から10月頃、茎頂と葉脇に青紫色の花を数個咲かせます。花冠長は4、5pほど、先が5裂、日が当たると裂片が開く。雌蕊花柱1本、雄蕊5本。

入笠湿原は地元の人たちにより十二分に管理された高層湿原であり、6月上旬にもなれば、白い愛らしい花をつけたスズランの大群生が現れるといいます。エコカフェでも挑戦したいですね。


関連記事(高山植物の魅力(122)/ミヤマリンドウ(深山竜胆))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

入笠山の北東眺望の正体は

ビーグル号の航海日誌 2014年09月16日 20:26

140913入笠山山頂から八ヶ岳@エコカフェ.JPG南アルプス北端に位置する入笠山(標高1955m)山頂からは360°の大パノラマを楽しむことができます。特に、北東側山麓を糸魚川静岡構造線が通っているため、大きな断層により落差が1000mにも及んでいます。[2014年9月13日撮影:入笠山@山崎]

山頂に立つと分かるのですが、山頂は裸地が緩やかに丸く広がり、所々に緑色石が露出したりしています。このことは、入笠山山体の地層が秩父古生層に属し、古生代後期から中生代前期の海底火山活動により形成されたことを意味するのだそうです。緑色石は玄武岩質火山岩類とされ、塊状溶岩や枕状溶岩、凝灰岩、それらの粉砕岩などに加え、バイクロシナイト、角セン岩などの超マフィックを伴うという。古い地層だけあってなだらかなのが登山者にとっては有り難いです。

糸魚川静岡構造線(断層)の北東側はフォッサマグナ帯と呼ばれ、新生代の堆積岩や火山岩から形成。北方向には、眼下の無数の家々や田畑を挟んで遥か活火山の八ヶ岳が大きな山体を誇っており、古き地層と新しき地層が隣り合わせしていることに自然の不思議を感じます。


関連記事(ホッサマグナと栃木県北部地震)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ


続きを読む
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

イヌシダ(犬羊歯)は裂片が鋸歯状

ビーグル号の航海日誌 2014年09月15日 20:00

110514イヌシダ@エコカフェ.JPG関八州見晴台までの道のりの途中に高山不動尊があります。境内の石垣や周辺の崖地には多くのシダ植物が着生しています。その中からイヌシダらしきシダを紹介します。[2011年5月14日撮影:第10回自然観察会@山崎]

イヌシダ(犬羊歯、学名:Dennstaedtia hirsuta (Sw.) Mett. ex. Miq.)はコバノイシカグマ科コバノイシカグマ属の小型の夏緑性シダ植物、暖地では常緑。分布は日本全土、国外では台湾、朝鮮半島、中国、ロシアに及び、低山の日当たりの良い岩隙などに自生。草丈は20pから40pほど、根茎は短く匍匐、灰色の長毛を密生。葉柄長9pから14pほど、中軸と同様に淡黄緑色で白色の軟毛を開出。葉は黄緑色の草質で裏表とも白色の毛が密生、葉身10pから20pほどの披針形、2、3回羽状中裂から深裂、裂片縁は鋸歯状、やや2形胞子葉は直立しやや長く、栄養葉は地表近くに展開します。秋に伸びた栄養葉は越冬するという。ソーラス(胞子嚢群)は胞子葉の裂片縁につき、包膜はコップ状で毛が生えます。

似ているオウレンシダは裂片両面に毛がないか、疎らである点が異なります。ただし、コバノイシカグマの小さな個体はよく似ていて見分けるのは難しいようです。


関連記事(ホラシノブ(洞忍)は逞しい)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ


続きを読む
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ハクモウイノデ(白毛猪の手)は品が

ビーグル号の航海日誌 2014年09月14日 20:00

110514ハクモウイノデ@エコカフェ.JPG西武秩父線西吾野駅から関八州見晴台へ向かう山中で見られるシダ植物。記録を整理し、未整理の中から調べのついたものを紹介します。渓流沿いで見たハクモウイノデです。[2011年5月14日撮影:第10回自然観察会@山崎]

ハクモウイノデ(白毛猪の手、学名:Deparia orientalis (Z.R.Wang et J.J.Chien) Nakaike)はイワデンダ科オオシケシダ属の夏緑性シダ植物。分布は本州、四国、九州、国外では台湾、中国に及び、山地の林仲のやや湿った場所に自生。110514ハクモウイノデ拡大@エコカフェ.JPG草丈は50pから100pほど、根茎は直立し、叢生。葉柄は太く藁色で帯赤褐色、茶褐色と白色の鱗片をまとい、中軸にも白色の鱗片。葉質は柔らかな草質、葉身は2回羽状深裂、倒披針形で下部と上部が漸次細るのが特徴。羽片は密につき、線状披針形で鈍頭、葉裏には時に腺毛。羽片の裂片は長楕円形、全縁で円頭。ソーラス(胞子嚢群)は中肋に接し、包膜は長楕円形、稀に鉤状。

名前の由来は分かりやすく、イノデに似ていること、鱗片が白色であること、にあります。近縁種でよく似ているものに葉柄基部鱗片の少ないウスゲミヤマシケシダ、葉柄が長く羽片間隔の広いミヤマシケシダが知られます。


関連記事(ニシキシダ(錦羊歯)は美しい)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ニシキシダ(錦羊歯)は美しい

ビーグル号の航海日誌 2014年09月13日 20:00

110514ニシキシダ@エコカフェ.JPG埼玉県飯能市と越生町に跨る尾根筋に関八州見晴台(標高770m)という名所がある。高山不動尊奥の院も鎮座。かつて、安房、上野、下野、相模、武蔵、上総、下総、常陸の関東八州が見晴らせたという。西武秩父線西吾野駅から辿る山中の林縁では点々とシダ植物を観察することができます。ここではニシキシダを紹介します。[2011年5月14日撮影:第10回自然観察会@阿部]

ニシキシダ(錦羊歯、学名:Athyrium niponicum f. metallicum)はメシダ科メシダ属の夏緑性シダ植物。イヌワラビの品種。分布は本州、四国、九州、国外では台湾、朝鮮半島、中国北部に及び、低地や山地の林下などに自生。草丈は30pから80pほど、葉軸に沿って白色斑が入り、古葉では僅かに帯紫色になる。その他の特徴はイヌワラビを参照されたい。

前に紹介したことがあるが、近縁種には変わり者がいます。ヘビノネゴザといって、重金属で汚染された土壌から重金属を吸収し、浄化する能力があるんですよね。


関連記事(ヒロハイヌワラビ(広葉犬蕨)は)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

横浜市開港記念館(重要文化財)は歴史の証人

ビーグル号の航海日誌 2014年09月12日 22:34

140911時計塔@エコカフェ.jpg140911開港記念館正面@エコカフェ.jpg北方から列島上空に寒気が入り込み大気が不安定となり、予想を超える局所的な豪雨に各地では対策に追われている。昨日の都心の雨もそんな雨であった。雨上がりに、横浜市中区にある開校記念館を訪ねた。[2014年9月11日撮影:横浜市@青山]

横浜市開港記念館は横浜港50周年(開港:安政6年)を記念し、市民の寄附により大正6年(1917年)に「開港記念横浜会館」として創建、横浜市の公会堂とされてきた。140911八角塔@エコカフェ.jpg140911開港記念館@エコカフェ.jpg赤レンガに花崗岩を取り混ぜた「辰野式フリークラシック」を採用、明治時代の赤レンガ建築の延長線上にある。通りに面した3隅に、高さ36mの鉄骨レンガ造りの時計塔(ジャックの塔)、角塔、八角塔を配し、ドームを架けるなど、大正時代のレンガ造りの構造技術の水準と独自の造型を示すものだそうです。大正12年(1923年)の関東大震災では内部が焼失したが、昭和2年(1927年)に復旧竣工。内部のステンドグラスは当初のデザインで統一されています。

太平洋戦争後は、昭和20年(1945年)から昭和33年(1958年)まで米軍に接収され、米軍の映画上映に利用。その後、昭和34年6月に中区公会堂とし、「横浜市開港記念会館」と称され、今日に至るようです。一見の価値ありです。


関連記事(ヴェルニー記念館でスチームハンマーを)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

センニンソウ(仙人草)は毒草

ビーグル号の航海日誌 2014年09月10日 23:28

140831センニンソウ@エコカフェ (2).JPG三宅島阿古地区の林縁でセンニンソウが白い花を咲かせていました。この時期にはタマアジサイも山中のあちらこちらで花を咲かせています。[2014年8月31日撮影:第9回エコカフェみんなの森づくり@山崎]

センニンソウ(仙人草、学名:Clematis terniflora DC.)はキンポウゲ科センニンソウ属の落葉性のつる性半低木(茎基部が木質化)。分布は日本全土、国外では台湾、朝鮮半島、中国、ロシア、モンゴルに及び、山野の日当たりの良い日端や林縁に自生。茎はよく分枝し、茎長は3mから5m、曲がりくねった葉柄や小葉柄で他の草木に絡みつく。140831センニンソウ花@エコカフェ.JPG葉は節ごとに対生し、奇数羽状複葉、小葉は3枚から7枚、革質で有柄、葉身3pから7pほどの卵状楕円形で全縁、先は尖ったり、鈍かったりです。花期は8月から9月頃、葉脈から円柱花序をだし、白色の径約3pの十字花をたくさん咲かせます。花は花弁に見える萼片4枚、雌蕊10本、雄蕊は多数。果実は橙黄色で長径8o前後の平らな倒卵形の痩果、雌蕊花柱が3pほど伸びた羽毛状の毛がつき、風散布します。

名前の由来は羽毛状の毛を仙人の白髭に見立てたことにあります。葉茎蔓に毒成分ポロトアネモニンを含み、生薬として外用するが服用は危険とされます。近縁種にヤンバルセンニンソウ、キイセンニンソウ、ムニンセンニンソウが知られます。


関連記事(パイオニア植物、ハチジョウイタドリ(八丈虎杖))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ヒロハイヌワラビ(広葉犬蕨)は

ビーグル号の航海日誌 2014年09月09日 22:00

121117ヒロハイヌワラビ@エコカフェ.JPG江ノ島の森は海岸性の温帯照葉樹林で構成され、林床や林縁はやや乾燥気味だが、シダ植物なども観察することができます。ヒロハイヌワラビもそんなひとつです。[2012年11月17日撮影:第14回自然観察会@阿部]

ヒロハイヌワラビ(広葉犬蕨、学名:Athyrium wardii (Hook.) Makino)はメシダ科メシダ属の夏緑性シダ植物。分布は本州東北地方南部以南、四国、九州、国外では朝鮮半島、中国に及び、山地の林下に自生。121117ヒロハイヌワラビ胞子のう群@エコカフェ.JPG草丈は30pから80pほど、根茎葉直立し叢生。葉柄長20pから30pほど、帯紅紫色で基部は茶褐色の鱗片を密生、葉身25pから35pほどの三角形から広い卵形、2回羽状複葉。羽片は5対から8対、披針形で先が尖り、小羽片は10対から14対、浅裂で基部に耳垂は生ぜず、鈍頭。中肋に褐色の短毛が密生。ソーラス(胞子嚢群)は三日月形、中肋寄りにつきます

メシダ属は世界の北半球に約180種、日本には26種以上が知られるが、分類学上はいろいろと議論もあるようです。まあ、専門学者にお任せするとして、北半球に偏っていることが何を意味するのかが面白いですよね。


関連記事(江ノ島、『天女と五頭龍』伝説に龍恋の鐘 )⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ