侵入者、グリーンアノール

ビーグル号の航海日誌 2011年06月26日 02:05

グリーンアノール@エコカフェ.JPG小笠原父島、母島では注意していると至る所でグリーンアノールを見かけますが、島の生態系のうち昆虫相にとって略奪的な脅威となっています。シャクガの幼虫や侵入者であるセイヨウミツバチを除くと、昼行性の昆虫はほとんど見られなくなっています。特に、固有のトンボ類は父島でも母島でも絶滅したものと思われます。さらに、昆虫相が壊滅になると虫媒花をつける在来固有種の植物は子孫を残すことがでできなくなります。特に、植物の中には特定の昆虫が受粉を仲介しているものもあるのです。[2010年9月9日撮影:母島乳房山山頂@阿部]

グリーンアノール(学名:Anolis carolinensis Voigt)は爬虫網有鱗目イグアナ科の昼行性の変温動物。分布は米国南東部、キューバ、メキシコ、西インド諸島に及び、森林、林縁、民家近くなどに棲息。父島には1960年代、母島には1984年頃にペットとして移入したものが野生化し、全島に繁殖拡大。動物食で視覚が発達し、動きが早いため、離れた獲物(昆虫など)を確認すると素早く近づき捕食してしまう。
雄のほうが大きく、体長は20cmほど。一夫多妻で雄は縄張りを持ち、雌は3月から9月頃に、12日から20日ほどの周期で数回にわたり、一度に1個の卵を地上の物陰に産卵。卵は40日程度で孵化。口が大きく何でも呑みこんでしまいそうで、貪欲で繁殖力は旺盛なのでしょう。

グリーンアノールの爆発的繁殖による生息域拡大とともに昼行性の昆虫は激減し、絶滅に追い込まれた種があることは、島の豊かな生態系に赤信号がともっているようなものです。島の生態系を守るためには、グリーンアノールの駆除はもとより、昆虫相だけではなく貴重な在来固有植物の結実調査などきめ細かなモニタリングが必要でしょう。

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◎地上近くの枯枝でカモフラージュするグリーンアノール[2008年6月21日撮影:父島小港海岸@阿部]
080621グリーンアノール@エコカフェ.jpg








◎長崎展望台で見かけたグリーンアノール幼体[2012年1月1日撮影:父島長崎展望台@山崎]グリーンアノール@エコカフェ.JPG

 2012.4.17追記






◎父島でゴキブリホイホリのような捕獲器に捕えられたグリーンアノール[2007年7月13日撮影:森も海も不思議いっぱい!小笠原エコツアー@阿部]070712グリーンアノール@小笠原エコツアー 021.jpg

 2012.6.23追記






◎小笠原諸島父島の傘山(標高280m)の山麓林縁で捕えたグリーンアノール[2010年5月7日撮影:小笠原エコツアー「ケータ島沖(聟島列島)と小笠原固有植物の森をめぐる旅」@十川雅彦]100507グリーンアノール2@エコカフェ.JPG100507グリーンアノール@エコカフェ.JPG

 駆除の成果はあがっているのでしょうか。

 2012.12.10追記



日経夕刊に「兄島に外来トカゲ」との見出し記事(2013.6.17追記)
 兄島でこの春に特定外来種「グリーンアノール」の侵入が確認された。国の科学委員会は初の「非常事態宣言」を出し、環境省は駆除作戦を強化しているそうだ。唯一の小笠原固有の昆虫類の楽園とされる兄島。うわさはあったのだが危惧された事態がついに確認。潮流の速い瀬戸を挟んで対岸の父島からどうやって渡ったのだろうか。初期段階での人海による徹底した捕獲による壊滅作戦が求められる!

posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(1) | TrackBack(0)
この記事へのコメント
森の中では食う、食われるの死闘が繰り広げられているのですね。
私たちが気付きにくい一見小さな世界ですが、小さな世界全体の均衡(バランス)が崩れているのです。
森に入ると本当に昆虫を見かけることが少ないですよ。
ヤギがいるのだからたくさんの蚊がいてよさそうなのですが、いませんね。
不思議ですよ。
Posted by オガサワラシジミ at 2011年06月26日 10:40
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