南極湖沼の生き物たち(考察)

ビーグル号の航海日誌 2010年01月31日 17:14

昨日の日経夕刊に『第51次南極観測隊の生物チームが、昭和基地の南約40キロの露岩地域スカルブスネスにある湖沼「長池」(長さ約400メートル、幅約150メートル)で潜水観測をした結果、藻類やコケ類などの植物が高さ数十センチの円すい形に固まった「コケボウズ」が水底に広がっているのを発見した。』と記事。少し調べてみた。

スカルブスネスにある湖沼は、氷河が後退した約1万年前に形成、3000から4000年前頃に藻類や蘚類(Bryum pallescens とLeptobryumの2種)などが湖沼に進出し、藻類マットやコケボウズは長い年月をかけて発達したと考えられよう。蘚類は地上生のものが水中適応したのだろう。第36次から第41次かけ観測隊は、湖沼底の水生蘚類のサンプル採取や実態解明のための潜水調査を行い、多くの成果を上げたようだ。
湖沼は、結氷時でも氷厚は1.5mから2m程度であることから内部は液体の水が存在する。その水は塩分を含み、貧栄養でプランクトンが繁殖しにくく、透明度が高いことから、解氷期には太陽光が湖底にまでよく差し込む。このため湖底の濫藻類が主体で珪藻や緑藻が混じる藻類マットはよく発達すると考えられている。そのマットの厚さは2mから4mにもなり、内部にはワムシ、線虫、クマムシなど以外に多様なベントスが生息。
マットの表面からは蘚類(Leptobryum sp)を構造体とし、一部に蘚類(Bryum属)が絡まる「コケボウズ(コケ坊主)」が立ち上がり、側面に藍藻や珪藻が付着し、頭頂部は蘚類が盛んに光合成をしている。大きいものでは直径30cm、高さ60cm程に成長している。このように立ち上がるのは、動揺のない水中で光合成のため太陽光を求めて、水生蘚類が適応分化として徒長し、捕食者がいないため高さを重ねたと考えられる。

このように極寒の南極大陸において、3℃の湖沼で生き物が生息できるのは、地上での強風や乾燥、極度の低温、結氷による物理的破壊などを避けることができたからである。生命力の柔軟な強さを感ぜずにはいられない。

関連報告(屋久島の地衣類・蘚苔類)⇒
関連記事(往く「しらせ」来る「しらせ」)⇒   関連記事(地球温暖化最前線!最終打合せ)⇒
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※エコ・カフェ事務局が承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/35035456
※エコ・カフェ事務局が承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

▲このページのトップへ