ウツボグサ(靫草)は面白い

ビーグル号の航海日誌 2014年09月19日 23:12

140913ウツボグサ花@エコカフェ.JPG入笠山(標高1955m)北東山麓に位置する入笠湿原はコンパクトながら湿生植物だけではなく乾燥化が進む途上にあり草原の植物も観察することができます。ウツボグサはそんなひとつです。9月19日の誕生花、花言葉は「協調性」「優しく癒す」。名前の由来は花穂が弓矢を入れる毛皮や鳥羽根で飾った竹籠でできた靫(うつぼ)に似ていることにあります。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

ウツボグサ(靫草、学名:Prunella vulgaris L. subsp. asiatica(Nakai) H.Hara)はシソ科ウツボグサ属の多年草。分布は北海道、本州、四国、九州、国外では朝鮮半島、中国東北部などに広く、人里から高原の草地や道端などに自生。草丈は10pから30pほど、茎の断面は四角形、葉は対生し、葉身2pから5cmほどの長楕円状披針形、低鋸歯がわずか。花期は6月から8月頃、茎先に長さ3pから8pほどの花穂をだし、紫色の唇形の小花(1個の苞に3個の小花がつく構造)を密に沢山咲かせます。花冠は長さ約2p、上唇は兜状、下唇は3裂し中央裂片には歯牙。雄蕊は長短2本ずつ、雌蕊柱頭は2裂。萼は長さ7oから10oほどの筒状唇形、下唇2裂、上唇は平らで棘状の3歯がつき、苞は扁心形で縁に毛が生えます。花穂は結実すると褐色になります。果実は長さ約1.6oの4分果。萼片に雨滴があたると種子が飛び出します。花後には茎基部から走枝を出して積極的に増殖します。

干した花穂は生薬「夏枯草(かごそう)」といい、ウルソール酸やブルネリンなどの有効成分を含むことから腎臓炎や膀胱炎などに効果があるとされています。近縁種には日本固有種で高山性のタテヤマウツボグサが知られます。


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入笠湿原の小宇宙はやがて

140913入笠湿原アプローチ@エコカフェ.JPG入笠山(標高1955m)の北東山麓にある入笠湿原は、広さこそ1.85haと高層湿原としては小さめ。そこでは、保護増殖活動の甲斐あって、スズランの大群落をはじめ多くの草花を観察することができます。[2014年9月13日撮影:入笠山事前調査@山崎]

入笠山一帯は約3億年前に形成された秩父古生層を基盤とすることから、山頂など基岩が露出している所では緑色石を確認することができます。もっとも、表面には地衣類が着生によってそう見えてしまうこともあるのですが。140913入笠湿原案内看板@エコカフェ.JPG周囲を丘陵に囲まれたような窪地であるため湿原が形成されたものと考えられます。推測するに湿原の形成は最終氷期(ヴィルム氷期)の終わった頃(1万年前頃)から始まったのではないでしょうか。対馬海峡が開き、日本海に暖流が流れ込み、列島には降雨・降雪が増えるようになったのです。現在は亜高山帯に属します。

当初は沼が形成され、土砂や植物痕で埋まり、低層湿原、中層湿原を経て、現在は高層湿原の老年期と考えられています。湿原は乾燥化が進み、はシラカンバ、ズミなどが侵入しています。人の手による保護活動でかろうじて生き長らえているのではないでしょうか。


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