高山植物の魅力(103)/アカミノイヌツゲ(赤実犬黄楊)

ビーグル号の航海日誌 2013年08月27日 21:22

130706アカミノイヌツゲ果実@エコカフェ.JPG130706アカミノイヌツゲ花@エコカフェ.JPG北アルプス小日向山(標高1907m)の登山道脇の湿った場所でわずかに見られたアカミノイヌツゲ。ちょうど小さな花と赤い実を同時につけていました。恐らく山中の湿原や湿地に点々と自生しているのでしょうが。[2013年7月6日撮影:第16回自然観察会@阿部]

130706アカミノイヌツゲ@エコカフェ.JPGアカミノイヌツゲ(赤実犬黄楊、学名:Ilex sugerokii Maxim. var. brevipedunculata (Maxim.) S.Y.Hu)はモチノキ科モチノキ属の常緑低木。クロソヨゴの変種で日本固有種。分布は北海道、本州中部地方以北に限り、高山帯や亜高山帯の蛇紋岩帯や湿地などに自生。岡山県無毛山に隔離分布。樹高は1mから3mほど、枝はよく分枝、葉は密に互生し光沢のある革質で有柄。葉身2pから3pほどの長楕円形から長卵形、葉縁に僅かに低鋸歯、葉先は短く尖ります。花期は6月から月頃、雌雄異株、葉脇に雄花は数個、雌花は1個、白色の花を咲かせます。花は径約5o、花弁4枚、雌花は雄蕊4本が小さく退化、雄花は雌蕊柱頭1本が退化。果実は径約6o前後の球形の核果、秋に赤く熟します。

名前の由来は赤い実をつけるイヌツゲということです。似ているものに、黒色の果実をつけるハイイヌツゲ、つる状にのびるツルツゲがあります。岡山の隔離分布は、ミヤマハンノキと同じように氷河時代の生き残りであることを意味しています。ものすごいことなのです。

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ヤクシマダケ(屋久島竹)の草原を

081106ヤクシマダケ@エコカフェ(屋久島エコツアー).jpg081106ヤクザサ草原@エコカフェ屋久島エコツアー2 051.jpg屋久島の標高の高い尾根筋や斜面地には一面にヤクシマダケが繁茂している場所があります。栗生岳に向かう登山道口周辺もそのひとつです。ヤクザサ(屋久笹)とも呼びます。竹と笹の違いと言えば、在来種の多くは笹で草本、地域的変異が多いのが特徴です。これに対して竹は木本で中国渡来のものがほとんどです。[2008年11月7日撮影:屋久島エコツアー@阿部]

131109ヤクシマダケ@エコカフェ.JPGヤクシマダケ(屋久島竹、学名:Pseudosasa owatarii Makino)はイネ科ヤダケ属の常緑多年生の小型の笹。屋久島固有種。分布は屋久島に限り、標高1700m以上の高山帯に密生、しばしば草原を形成。草丈は50pから100pほど、地下茎は横に伸び、棹(茎)は径3o前後と細く、節は膨らまずに間隔5pほどで節から伸びる枝は径約1oに過ぎない。茎を包む鞘は剥がれず残るのも特徴です。葉は両面とも無毛、葉身6pから12pほど、幅8oから12oほど長披針形で先は尖り、平行脈が幾筋も走ります。花期は4月から5月頃、50年に一度一斉に開花し枯れ、世代交代をします。山頂付近の風衝帯では多くの植物と同じように矮小化し、ヤクシマダケの場合は草丈数p足らずになります。

ヤクシマダケに限らず、クマザサなどの葉には葉緑素、多糖類のバンフォリン(banfoline)、各種ビタミンやミネラル、安息香酸、カルシウム、リグニンなどが含まれ、脱臭効果、抗菌作用があるほか、貧血予防、高血圧予防にも期待できるとされています。特に、バンフォリンは制癌成分として注目されているそうです。

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ヤクシマホウオウゴケ(屋久島鳳凰苔)は何故に

081106ヤクシマホウオウゴケ@エコカフェ(屋久島エコツアー).jpg屋久島の大株歩道沿いには仁王杉など屋久杉の巨木が多く見られます。もちろん、そんな山側の崖地には水が滴り、苔が繁茂しています。ここでは熱帯アジアに広く分布しながら、日本では屋久島の高山でしか見られないヤクシマホウオウゴケを紹介します。先に紹介したサクラジマホウオウゴケナガサキホウオウゴケの仲間でもあります。[2010年11月9日撮影:屋久島エコツアー@阿部]

ヤクシマホウオウゴケ(屋久島鳳凰苔、学名:Fissidens areolatus Griff.)はシッポゴケ目ホウオウゴケ科ホウオウゴケ属の蘚類。081111仁王杉@エコカフェ屋久島エコツアー2 124.jpg分布はフィリピン、マレー半島、インドネシア、パプアニューギニアなど熱帯アジア、オーストラリアに広く、日本では屋久島に限り高地のみに自生。葉は茎にニ列に並び、羽状のよう。茎の先端部では葉が極小さいか無いように見えます。なお、葉の基部に折り畳まれ重なる副翼という構造があるのがホウオウゴケ属に共通の特徴です

ヤクシマホウオウゴケのほかにもう1種、熱帯アジアに分布しながら日本では屋久島の高山に自生するヤクホウオウゴケが知られています。こちらは同じ高山でも常に水の流れ、滴りがある崖地に自生するそうです。何とも不思議ですね!


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