高山植物の魅力(101)/センジュガンピ(千手岩菲)

ビーグル号の航海日誌 2013年08月11日 22:46

090922センジュカンピ@エコカフェ(上高地).JPG上高地から梓川に沿って横尾まで伸びる登山道脇の林縁で見られた小さな可憐な花。雨粒に打たれた後でしっとりと濡れていました。本来は5弁なのですが1枚が脱落してしまったようです。花が終わりに近づいているところに雨粒で激しく打たれてしまったのでしょうか。[2009年9月22日撮影:上高地@山崎]

センジュガンピ(千手岩菲、学名:Lychnis gracillima (Rohrb.) Makino)はナデシコ目ナデシコ科センノウ属の多年草。日本固有種。分布は本州(中部地方以北)に限り、山地から亜高山帯の暗い湿った林縁や林下に自生。090922上高地@エコカフェ.JPG草丈は30cmから80cmほど、茎は細く倒れて他の植物に寄りかかり、葉は対生し茎を抱き、葉身は5cmから15cmほどの長披針形。葉表は無毛、葉裏は脈上に僅かに毛が生えます。花期は7月から8月頃、分枝した茎頂に集散花序をだし、白色の径約2pの5弁花を咲かせます。花弁は先端が浅くギザギザに切れ込みが入るのが特徴です。

名前の由来は日光千手ヶ浜で発見され、中国原産の岩菲に似ていることにあるそうです。健気な感じのする愛らしい花でもありました。


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高山植物の魅力(100)/ミヤマキスミレ(深山黄菫)

130720ミヤマキスミレ花@エコカフェ.JPG130720ミヤマキスミレ@エコカフェ (2).JPG北アルプス小日向山(標高1907m)登山道脇の草地で見つけた小さな黄色い花。背丈も低いが葉がやけに大きく葉の並行脈がしっかりしています。キスミレを教えられたのですが、気になり調べてみるとミヤマキスミレのようです。[2013年7月20日撮影:第16回自然観察会@阿部]

ミヤマキスミレ(深山黄菫、学名:Viola brevistipulata (Franch. et Savat.) W. Becker var. acuminata Nakai)はスミレ科スミレ属の多年草で有茎種。オオバキスミレの高山型で日本固有種。分布は本州中部地方(白山)以北と東北地方に限り、亜高山帯から高山帯の雪の多い明るく湿り気のある林縁などに自生。草丈は5cmから15cmほど、根茎で繁殖、根生葉は心形。茎を伸ばしその上部に無毛の茎葉3枚を輪生状につけ、葉身2pから8cmほどの三角状心形で葉縁に波状鋸歯、葉先は尾状に尖ります。小さな全縁で三角形の托葉がつきます。花期は6月から7月頃、茎葉の中心軸から花柄をすーっと伸ばし、先端に径約1.5cmの黄色い花を咲かせます。花は唇弁と側弁に赤褐色の誘導線が入り、距は線状でごく短く、附属体はキスミレより小さいという。果実は刮ハです。

スミレと言えばタチツボスミレニョイスミレヒメスミレなど白色か淡紫色の花を咲かすものと思いがちであるが、本種のように黄色い花を咲かせるものも少なくない。日本にはオオバキスミレ、キスミレ、キバナノコマノツメの3種を基本に、変種など20種程度が知られているそうです。スミレも奥が深いのですよ。


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ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)の花と果実を

130720ヤブヘビイチゴ@エコカフェ.JPG奥秩父山塊の東南の端に位置する棒ノ峰(標高969m)に向かう白谷沢コースの上部、渓流から離れヒノキ植林域に向かう途中の林縁で小さな黄色い花と小さな赤色の果実を見つけました。ヘビイチゴかヤブヘビイチゴか迷うところです。萼片だけではなく副萼片が大きく突出していることからヤブヘビイチゴのようです。[2013年7月20日撮影:棒ノ折山@阿部]

ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺、学名:Potentilla indica (Andrews) Th.Wolf)はバラ目バラ科キジムシロ属の多年草。130720ヤブヘビイチゴ花@エコカフェ.JPG分布は本州関東以西、四国、九州、南西諸島、国外では中国南部や東南アジアに広く、山地の登山道沿いや林縁などの半日影のやや湿った場所に自生。草丈は5cmから10cmほど、葡匐茎が地面を這って各節から根を下ろし繁殖します。葉は3出複葉、小葉は葉身3pから4pほどの楕円形、葉縁に粗鋸歯がつきます。花期は4月から6月頃、花茎を立て茎頂に径約2pの黄色い5弁花を1個咲かせます。花の基部に萼片のほか副萼片が目立つのが特徴です。果実は果床部が肥大した白色か赤色の径約2pの球形の偽果(イチゴ状果)、痩果が表面全体を覆います。

イチゴの名前のつく植物には、キイチゴ属のクサイチゴ、モミジイチゴ、フユイチゴカジイチゴベニバナイチゴチチジマキイチゴなど、キジムシロ属のヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴなど、オランダイチゴ属のシロバナノヘビイチゴ、ノウゴウイチゴなどが知られています。


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ミヤマカンスゲ(深山寒菅)の群落を

130720ミヤマカンスゲ@エコカフェ.JPG棒ノ折山(標高969m)の白谷コースは渓流沿いの変化に富んだよい登山道。ロープあり、鎖場あり、幾つもの滝があってマイナスイオンが一杯なのが嬉しい。断層沿いに渓流が落下しているようで、大きくX字露岩が開いている場所にはカンスゲの仲間の群落が唯一見られました。葉に三脈が認められること、群落の様子からミヤマカンスゲとします。[2013年7月20日撮影:棒ノ折山@阿部]

ミヤマカンスゲ(深山寒菅、学名:Carex dolichostachya Ohwi.)はカヤツリグサ科スゲ属の常緑多年草。130720岸壁にミヤマカンスゲ@エコカフェ.JPG分布は北海道、本州、四国、九州に及び、暖温帯上部から冷温帯の丘陵や山地の落葉広葉樹林下や林縁などの湿った場所に自生。草丈は20cmから50cmほど、葉は根生し、基部の鞘は紫褐色、葡匐茎はないため大きな株になります。葉はやや柔らかめで平滑、幅5mmから10mmほどの線形、葉縁は僅かにざらつきます。葉面はM字型の三脈が緩やかに目立つのが特徴です。ただし、変異が大きい(6種の変種が知られる)ことに留意。花期は3月から6月頃、有花茎の先に1個の雄小穂をつけ、その下に数個の細い雌小穂をつけます。果胞は長楕円形で疎らに毛が生えます。

スゲ属は世界に2000種、日本でも200種超の大きな属を形成。毎年、新種も発見され、種分化が著しいようだ。ミヤマカンスゲの仲間(ヌカスゲ節)には、日本では葉に三脈のないカンスゲ、三脈と葡匐茎のあるオクノカンスゲ、小型のヒメカンスゲ、葉の細いホソバカンスゲ、四国以南の山地岩場に自生するイワカンスゲなどが知られています。エコカフェの小山博滋先生はこの分野の大家です。これまた奥が深いのです。


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