高山植物の魅力(93)/ニリンソウ(二輪草)

ビーグル号の航海日誌 2013年07月16日 22:49

130706ニリンソウ@エコカフェ(小日向山).JPG北アルプス小日向山(標高1907m)の登山道脇に広がる湿原や湿地にはミズバショウリュウキンカザゼンソウが咲き誇り、その周辺の草原や林縁にはコバイケソウサンカヨウなどが彩りを加えています。ニリンソウもそのひとつです。花言葉は「友情」、「協力」です。[2013年7月6日撮影:第16回自然観察会@阿部]

ニリンソウ(二輪草、学名:Anemone flaccida F. Schm.)はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。分布は北海道、本州、四国、九州、国外では東アジアに広く、山地の湿潤な林床などに自生。草丈は15cmから30cmほど、地下茎は太く短く横に這い、葉は根出葉と茎葉があります。130706ニリンソ花@エコカフェ(小日向山).JPG根生葉は数枚つき有長柄、心臓形で3全裂し側裂片はさらに2深裂(全部で5裂)、葉茎はトリカブトと異なり中空。茎葉は無柄で3枚が輪生し、3深裂し表面に白斑が入ります花期は3月から6月頃、1本の茎から花茎が2本伸び、各1輪の花を咲かせます。花は径約2cmの5弁花。果実は楕円形の痩果で毛が生えます。地下茎でも増殖ししばしば群落を形成します。

キンポウゲ科の植物は毒草が多いが、ニリンソウは毒成分が極めて弱いため根茎を漢方薬とするほか若葉を山菜として食するそうです。皮肉にもトリカブトの葉が似ているため、トリカブトの若葉の誤食による事故が起こったりしています。注意したいですね。


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高山植物の魅力(92)/ザゼンソウ(座禅草)

130706ザゼンソウ@エコカフェ(小日向山).JPG130706ザゼンソウ果実@エコカフェ(小日向山).JPG平地はうだる暑さ。北アルプス小日向山(標高1907m)は白馬三山の前衝山であって斜面の所々に白い残雪が見られます。高山の短い夏の始まりを目前に、今は早春を告げる花が咲き誇っています。ミズバショウと色合いが真逆のザゼンソウもそのひとつです。[2013年7月6日撮影:第16回自然観察会@阿部・中村敏之]

ザゼンソウ(座禅草、学名:Symplocarpus foetidus (L.) Salisb. ex W.P.C. Barton)はサトイモ科ザゼンソウ属の多年草。分布は本州中部地方以北、北海道、サハリン、東シベリア、朝鮮半島に及び、亜高山帯の湿地や水辺などに自生。130707ザゼンソウ花@エコカフェ.jpg草丈は40cmほど、地下茎は太く、葉は根生し有柄、葉身40cmほどの円心形です。花期は3月から5月頃、葉の展開前に舟形の厚い仏炎苞に包まれた長さ2cmほどの楕円形の肉穂花序をだし、個もの小花を裂かせます。小花は雄蕊4本、雌蕊1本、自家不合和のため雌性先熟の戦略を取ります。しかも、花序にはミトコンドリアを多く含む発熱細胞があって、呼吸熱を発し周囲の氷雪を溶かし、悪臭を放って積極的にポリネーターである昆虫が少ない時期に積極的に種を残そうと努力しているのです。種子はスポンジ状の果序に埋まり、水散布のほか野ネズミの貯蔵行動によっても散布(貯蔵散布)されます。

根茎にシュウ酸カルシウムやサポニン配合体を含み毒草とされます。名前の由来は仏炎苞に包まれた肉穂花序の様子を座禅を組む僧侶の姿に見立てたことにあります。別名に達磨大師に見立てて「ダルマソウ」とも呼ぶそうです。なお、日本にはザゼンソウのほかにヒメザゼンソウとナベクラザゼンソウが見られます。


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カシワ(槲)は古来より身近か

130714カシワ葉@エコカフェ.jpgようやく出会ったカシワは近くのお寺の境内にあった。カシワの葉には芳香があり、新芽が出るまで古い葉が落葉しないことから「代々途切れることのない」と縁起を担ぎ、塩漬けにした葉を、古くから5月『端午の節句』につきものの「柏餅」を包むのに使われるんです。縄文時代にも土器の底に敷いて蒸すのに用いたというからすごい。名前の由来も炊葉(かしわ)にあるそうです。[2013年7月14日撮影:妙光寺@山崎]

130714カシワ大木@エコカフェ.jpgカシワ(槲、学名:Quercus dentata Thunb. ex Murray)はブナ科コナラ属の落葉高木。分布は北海道、本州、四国、九州、国外では朝鮮半島、中国、中央アジアに広く、暖温帯上部から冷温帯の沿岸部から山地などの礫地ややせ地などに自生。樹高は15mから20mほど、樹皮は灰黒褐色で皮目は縦裂し、枝は太くよく分枝します。葉は枝先に互生し洋紙質、葉身15cmから30cmほどの倒卵状楕円形で葉縁に波状の大きな鋸歯、先端は鈍頭。葉裏に茶褐色の星状毛が密生します。樹皮には多くのタンニンが含まれます。花期は4月から6月頃、葉の展開と同時に、本年枝の下部の葉腋から長さ10cmから15cmほどの雄花序が下垂、径約2mmの雄花を多数咲かせ、雌花序は上部の葉腋から出て数個の雄花を咲かせます。果実は長径約1.5cmから2pほどの卵状球形、殻斗は線形の鱗片が多数つきます。

カシワは古くから私たちの生活にとって大切な樹木だったようです。葉にはテンペル系物質を含み殺菌作用があることから食器代わりに使ったり、樹皮から採取したタンニンを皮なめしに用いたり、染料にしたり、材を建材や家具材に用いたりしてきたのです。野生化では自然交雑も多く、ミズナラと交雑したカシワモドキやホソバガシワ、コナラと交雑したコガシワなどが知られています。  


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