古代植物、マツバラン(松葉蘭)

⇒エコツアー 2013年05月04日 19:46

130411マツバラン@エコカフェ奄美大島エコツアー_220_s.jpg奄美大島の金作原原生林で珍しいシダ植物を観察しました。古代植物のマツバラン、江戸時代には各大名がこぞって池泉回遊式庭園づくりとともに愛でた逸品です。松の葉に似ていていつも青々としていて縁起が良いということでしょう。エコカフェでも小笠原の森で稀に見たことがあるが、他の地域で樹幹に着生しているところを見るのは初めてでした。ちなみに宿主は渓流近くにあったヒカゲヘゴで樹幹を覆う気根をうまく利用していますね。[2013年4月12日撮影:奄美大島自然体験ツアー@阿部]

130411マツバラン@エコカフェ奄美大島エコツアー_218.jpgマツバラン(松葉蘭、学名:Psilotum nudum (L.) Griseb)はマツバラン目マツバラン科マツバラン属の常緑性シダ植物。環境省レッドリストで準絶滅危惧(NT)。分布は本州中部地方以南、四国、九州、南西諸島、国外では熱帯地域に広く、樹上や岩上などに溜まった腐植などに着生。草丈(茎丈)は30pほど、胞子体の茎は二叉し、細い枝には稜があり所どころに突起ができます。胞子体の地下部分は髪の毛のような仮根がたくさん生え、仮根には菌根菌が共生します。ソーラス(胞子嚢群)は分枝した先端部の枝のありこちにつき、熟すと黄色くなり、破れ胞子が放出されます。胞子は腐食物中で発芽し、配偶体になり、菌根菌から栄養をもらって造卵器と造精器を生じます。各器官で造られた卵と精子が受精することで地上部を持つ胞子体が誕生し、成長して光合成をするようになります

マツバランの仲間は1属2種しか存在せず、葉も根もない原始的な形態を維持しているシダ植物なのです。このブログでも原始的な形態を維持しているシダ植物として他にイワヒバヒバゴケヒカゲノカズラを紹介しましたが、何とも不思議ですね。


関連記事(古代植物、ヒカゲノカズラ(日陰の葛))⇒

続きを読む
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ハドノキも照葉樹林を

130411ハドノキ@奄美大島エコツアー_206_s.jpg130411ハドノキ樹皮@奄美大島エコツアー_207_s.jpg奄美大島の金作原原生林の亜熱帯性照葉樹林のハドノキは低木層を構成している樹種のひとつと思いきや、何と亜高木層まで進出しているようです。出逢ったハドノキもかなりの高さがありました。[2013年4月12日撮影:奄美大島自然体験ツアー@阿部]

ハドノキ(学名:Oreocnide pedunculata (Shirai) Masamune)はイラクサ科ハドノキ属の常緑低木。分布は本州伊豆半島・紀伊半島、四国、九州南部、南西諸島、台湾に及び、山地の樹林内の明るい沢筋などに自生。樹高は4mから5mほど、樹皮は赤褐色で多い皮目が目立ち、上部でよく枝分けれします。葉は互生し、葉身5pから10pほどの長楕円状披針形、葉縁に粗い鋸歯、葉先は尾状に尖ります。葉は無毛か短伏毛が生え、3脈が目立ち、葉柄と葉裏の葉脈は紅色を帯びます。花期は2月から4月頃、雌雄異株、前年枝の葉痕腋から、雌花は4o前後の柄を伴う団集花序に、雄花は無柄の団集花序に、たくさんの極小さな花を咲かせます。雌花の紅色の花被は筒状で柱頭の縁には白い微毛が生え、雄花は花被片3枚が開きます。果実は多肉質の花被が合着した径約1.5mmの卵形の痩果、11月から翌年3月頃に熟します。

奄美大島は台風の通り道にあたり、暴風雨による大きな土砂崩れもしばしば発生してきたらしい。そのため森の新陳代謝もしばしば起こり、多様な植生が維持されてきたのであろう。もちろん、シカなど四足の草食動物を欠いていることが、一番森の低木層や草本層の緑を豊かに保てていることになるのでしょう。佐渡島の森もそんな森ですよ。


関連記事(オガサワラモクマオ(小笠原木朝黄))⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ



続きを読む
posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

サンゴジュ(珊瑚樹)は照葉樹林を

130411サンゴジュ手前@エコカフェ奄美大島エコツアー_195_s.jpg奄美大島の金作原原生林、亜熱帯性照葉樹林の代表格であろう。ここにはイジュタブノキホルトノキなどの高木層の下にフカノキクロガネモチショウベンノキカクレミノなどとともに亜高木層や低木層を構成する樹種のひとつにサンゴジュがあります。[2013年4月12日撮影:奄美大島自然体験ツアー@阿部]

サンゴジュ(珊瑚樹、学名:Viburnum odoratissimum var. awabuki (K.Koch) Zabel)はマツムシソウ目スイカズラ科ガマズミ属の常緑小高木。130411サンゴジュ樹幹@エコカフェ奄美大島エコツアー_196_s.jpg分布は本州関東地方南部以南、四国、九州、南西諸島、朝鮮半島南部、台湾に及び、海岸近くの山地などに自生。樹高は5mから12mほど、樹皮は灰黒色から灰褐色で皮目が多く目立つ。葉は対生し分厚く光沢があり、葉身は7pから20pほどの長楕円形で全縁(時に葉縁上部に波状の鋸歯)で葉先は尖ります。若葉は褐色、後に濃緑色に変化。花期は6月から7月頃、本年枝先に円錐花序を伸ばし、たくさんの白色の花を咲かせます。花冠が5裂し反り返り、5本の雄蕊が目立ちます。果実は長径約8oの卵形の核果、秋に果柄とともに赤く熟します。

分厚い葉や柔らかな木質には水分が多く含まれること、芽吹き力が旺盛なこと、から耐火性に優れることから、防潮林のほか生垣、公園樹によく利用されています。名前の由来は真っ赤な果実が房のようにつく様をにあるというとおり、数珠なりしている様子は見事です。


関連記事(ヒカゲヘゴ(日陰杪欏)は王様)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ



posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ナガレヒキガエル(流れ蟇蛙)

110723ナガレヒキガエル@エコカフェ.JPG京都大学芦生研究林は通称「芦生の森」と呼ばれており、エコカフェも時どきフィールドワークに活用させてもらっています。そこは懐の深い新緑が美しい豊かな森のです。この森には多くの生き物たちが暮らしています。ここではナガレヒキガエルを紹介します。アズマヒキガエルに似ていますが鼓膜が目立たないので区別がつきます。[2011年7月23日撮影:芦生公開講座2011「今,森から考える−森のめぐみ−」@阿部]

ナガレヒキガエル(流れ蟇蛙、学名:Bufo torrenticola Matsui)はヒキガエル科ヒキガエル属の大型の蛙。日本固有種。分布は本州中部地方西部・近畿地方に限り、山地の渓流周辺の森林内や草原などに生息。体長は7pから17cm(メスが一回り大きい)で皮膚に疣状の突起があり、体色は緑褐色や黒褐色、四肢がアズマヒキガエルより長く、鼓膜は小さく不明瞭、趾間に小さな水掻きがあるそうです。食性は動物食でミミズ、昆虫類、節足動物などを食します。繁殖期は4月から5月頃、渓流や滝壺などの水底に産卵、ひも状の卵塊は2500個もの卵が入っているという。この繁殖期、メスの体表には赤や橙の斑紋が入り、オスは突起が消えるという。

日本には関西の基亜種ニホンヒキガエルと関東に亜種アズマヒキガエル、宮古島に固有亜種のミヤコヒキガエル、本州中部に渓流産のナガレヒキガエルが生息していることになります。いずれも後頭部の耳線から白乳色の毒成分ブフォトキシンを出して外敵から身を守ります。素手で触るのは気をつけましょう。


関連記事(ヤマアカガエル(山赤蛙))⇒人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ


posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ

ヒメジャノメ(姫蛇目)は森の忍者

130411ヒメジャノメ@エコカフェ奄美大島エコツアー_318_s.jpg奄美大島の金作原原生林は亜熱帯性照葉樹林の典型的な深い森です。そんな森の植生観察をしている時に登山道脇に散った落葉の上にじーっとしている小さな生き物を発見。調べてみるとヒメジャノメのようです。[2013年4月12日撮影:奄美大島自然体験ツアー@阿部]

ヒメジャノメ(姫蛇目、学名:Mycalesis gotama Moore)はタテハチョウ科コジャノメ属の蛇目蝶の仲間。分布は日本では北海道渡島半島以南、東アジア、東南アジアに広く、山地や盆地などの明るい疎林内や周辺などに生息。前翅長は18mmから31mmほど、翅裏を縦に走る白色帯がほぼ直線的に入り、後翅裏面の大きな目玉斑紋の上に並ぶ小さな目玉斑紋の数が3つです。似ているコジャノメは白色帯が湾曲し、小さな目玉斑紋は4つとなります。発生時期は5月から10月頃、成虫は吸密せず腐果や獣糞に集まり、幼虫の食草はアズマネザサ、ススキなどのイネ科植物になります。

最近の研究によると、ヒメジャノメはひと括りにせず、日本本土・対馬・屋久島・種子島産を亜種(学名:M. g. subsp. fulginia Fruhstorfer)、奄美大島・沖縄産を亜種(M.g.subsp. amamiana Fujioka)とする報告もなされているようです。分類学は専門家に任せるにしても、地理的に生息地が分断し集団の交流が途絶えることで、各集団は独自に分化、進化のプロセスを辿るというのは興味深い自然の摂理なんですよね。


関連記事(ダイミョウセセリの不思議)⇒
人気ブログランキングへにほんブログ村 環境ブログへ



posted by エコ・カフェ事務局 | Comment(0) | TrackBack(0)

▲このページのトップへ