オオトキワイヌビワ(大常葉犬枇杷)は本土系

ビーグル号の航海日誌 2012年12月29日 23:54

120624オオトキワイヌビワ@エコカフェ.JPG小石川植物園の温室に保存展示している小笠原固有種のひとつにオオトキワイヌビワがあります。先に紹介したトキワイヌビワよりも葉が大きいことが名前の由来です。この仲間は近縁種のイヌビワが起源で小笠原諸島で適応放散し、母島の湿性高木林内のみに自生するオオヤマイチジク、日当たりのよい林縁などに自生するトキワイヌビワ、さらにオオトキワイヌビワの3種に種分化したと考えられています。[2012年6月24日撮影:小石川植物園@山崎]

オオトキワイヌビワ(大大常葉犬枇杷、学名:Ficus nishimurae Koidz.)はクワ科イチジク属の常緑低木。小笠原固有種で絶滅危惧TB類(EN)。分布は父島列島、母島列島、聟島、北硫黄島に及び、島の中央部の山地林内のやや薄暗い林下に自生。樹高は1mから2mほど、あまり分枝せずに枝が伸び、葉は枝先近くに互生し、厚く大きく、葉脈が太く葉裏に突出します。花期は6月頃、葉腋に花嚢ができ、多肉のつぼ状花軸の内面に多数の花を咲かせます。果実はイチジク状果で9月頃に紫褐色に熟します。

イチジク属の植物はガジュマルがガジュマルコバチのみが送粉を担うように特定のイチジクコバチ類と1対1の共進化の関係にあります。オオトキワイヌビワは野生化で結実数が少ないことが知られています。パートナーのイチジクコバチ類が激減してしまったことが直接の原因と考えられます。ここにもグリーンアノールの食圧が関係しているのでしょうか。


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オガサワラクチナシ(小笠原梔子)は東南アジア系

120504オガサワラクチナシ花2@エコカフェ.JPG続いて小石川植物園の温室で保護展示しているオガサワラクチナシを紹介します。現地では乾燥台地の乾性低木林、特にコバノアカテツーシマイスノキ群集に中に混生するため、花が咲いていないと特定するのは難しいようです。[2010年5月4日撮影:小石川植物園@山崎]

オガサワラクチナシ(小笠原梔子、学名:Gardenia boninensis (Nakai) Tuyama)はアカネ科クチナシ属の常緑低木。120504オガサワラクチナシ花@エコカフェ.JPG小笠原固有種で絶滅危惧U類(VU)。分布は父島列島、母島列島、聟島に及び、日当たりのよい乾性低木林のブッシュ中などに自生。樹高は1mから2mほど、よく分枝し、葉は対生し厚く光沢があり、葉身3cmから10cm(父島、兄島のものは小さ目)、全縁で葉先は鈍頭に尖ります。葉脈は10対から13対ほどで主脈、側脈ともに葉裏に突出し目立ちます。花期は4月から5月頃、枝先に白色の花をひとつ咲かせます。花は径約6cm、花筒は約4cmと長く、花弁6枚(希に8枚)が高杯状に開き、雄蕊、雌蕊が長く突出します。花は甘い独特の芳香が強いです。果実は6個の稜のある楕円形の漿果、12月から翌年1月頃に黄色に熟します。

花筒が長く雌蕊と雄蕊が突出するのは、蛾が媒介する花の構造的特徴だそうです。小笠原固有種の多くが絶滅の危機に瀕している要因のひとつに、それらの植物の送粉を担う特定の昆虫がグリーンアノールの捕食圧力を受け、開花しても結実しないことがあげられています。さらに小笠原でよく見かけるセイヨウミツバチとの競争も考えられるのではないでしょうか。


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アツバシマザクラ(厚葉島桜)は起源不明

120624アツバシマザクラ@エコカフェ.JPG東京大学附属小石川植物園で保護展示されている小笠原固有の絶滅に瀕した植物については、小笠原の森での野生種の観察を補足する形でこのブログでも時どき紹介しています。ここでは、自生地が硫黄列島のため野生状態のものを実際に見ることはまずできないアツバシマザクラを紹介します。[2012年6月24日撮影:小石川植物園@山崎]

アツバシマザクラ(厚葉島桜、学名:Hedyotis pachyphylla Tuyama)はアカネ科フタバムグラ属の常緑低木。硫黄列島固有種。分布は硫黄列島(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島)に限り、環境の厳しい岩場に自生。120624アツバシマザクラ葉@エコカフェ.JPG樹高は1mから2mほど、葉は対生し、厚く光沢があり、長楕円形から楕円形、全縁で葉先は尖ります。花期は7月から9月頃、枝先に複集散花序をだし、淡紫色の小さな筒状花をたくさん咲かせます。花冠は長さ約5mmで先が4、5深裂し外側に大きく反転するのが特徴です。果実は径約5mmの球形です。

近縁種としてやはり小笠原固有種であるシマザクラ、マルバシマザクラが知られるが、起源については東南アジア系でもないし、ポリネシア系でも本州系でもなく不明とされています。


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