ヤマラッキョウ(山辣韮)は食料にも

ビーグル号の航海日誌 2012年10月29日 22:40

121027ヤマラッキョウ花@エコカフェ (2).JPG葦毛湿原での湿生植物5番バッターはヤマラッキョウです。湿原の植物らしく花茎をすっーと直立させ、あちらこちらで先端に淡紫色の花を咲かせていました。花の色が白色のものをシロバナヤマラッキョウ(白花山辣韮)と呼び、ヤマラッキョウの品種として区別しますが、両社は湿原では混生していることが多いそうです。[2012年10月27日撮影:葦毛湿原@阿部]

ヤマラッキョウ(山辣韮、学名:Allium thunbergii G.Don)はクサスギカズラ目ヒガンバナ科ネギ属の湿性植物で多年草。分布は本州福島県以南、四国、九州、南西諸島、国外では朝鮮半島南部、中国、台湾に及び、山野の湿原、湿原周辺の草地、棚田、海岸など湿潤な場所に自生。121027ヤマラッキョウ@エコカフェ.JPG草丈は30cmから50cmほど、根出葉は葉身20cmから50cm、幅2mmから5mmほどの中空の三角柱状腺形です。
花期は10月下旬から11月下旬、初夏の頃に中空の花茎をまっすぐ伸ばし、頂端に紅紫色の球状の散形花序をつけ、たくさんの淡紅色から濃紫色の小花を咲かせます。小花は6枚の花被片(内外)が開出せず、雄蕊6本、雌蕊花柱3裂が飛び出すのが特徴です。花柱基部には3個の密腺があります。果実は卵状球形の刮ハで3室に分かれています。

名前の由来は鱗茎がラッキョウに似ていることにあり、皮を剥いて炒め物や煮物、天ぷらなどにして食することができるといいます。ヤマラッキョウは変異が多いだけでなく、染色体数の異なるタイプがあります。2倍体のものは湿原に、4倍体のものは葉が広線形で草原や海岸に、6倍体のものは花が大型で海岸の岩場に生育するといいます。


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スイランは湿原の名残花

121027スイラン@エコカフェ.JPG葦毛湿原での湿生植物4番バッターはスイランです。花を見ると明らかにキク科のニガナ(ヤマニガナ)の特徴を有しているのですが、なぜか名前に「ラン(欄)」がついています。葉が細長くシュスランの葉に似ていること名付けられたようですが、どうもしっくり来ませんね。[2012年10月27日撮影:葦毛湿原@山崎]

スイラン(水欄、学名:Hololeion krameri (Fr. et Sav.) Kitam.)はキク科スイラン属の湿性植物で多年草。日本固有種。121027スイラン茎葉@エコカフェ.JPG分布は本州中部地方以西、四国、九州に及び、低地から山野の湿地、ため池縁などに自生。草丈は約50cmから80cmほど、白色の細長い地下茎が地中を走り、根出葉はやや厚め、葉身は15cmから40cmほどの線形で葉縁に疎らに不明瞭な鋸歯があります。茎葉も同様であるがまれ。葉の両面とも無毛です。地下茎(走出枝とも)が地中に伸びて無性生殖のひとつである栄養繁殖を行います
花期は10月上旬から11月下旬、花茎の頂端に径約3cmの頭状花をひとつ裂かせます。頭花は多数の舌状花からのみなり、先端が浅く歯牙状に5裂します。果実は長さ8mm前後の痩果で、淡褐色の冠毛は短めで飛翔距離は長くはないが風散布します。

スイランはムミカキグサの小さな花と共存して大き目の花を咲かせ、晩秋の枯れゆく湿地の秋に彩りを添えてくれます。この花が終わる頃、湿原は北風に枯れ草がカサカサと静かに音を立てるもの悲しい薄茶けた冬を静かに迎えます。


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ホザキノミミカキグサ(穂咲の耳掻き草)も南方系

121027ホザキノミミカキグサ@エコカフェ.JPG葦毛湿原での湿生植物3番バッターはホザキノミミカキグサです。ミミカキグサの近縁種です。両者は混生するがホザキノミミカキグサのほうがやや乾燥した場所でも見られるようです。地下茎に捕虫嚢をつけ、虫を捕獲し窒素やリン、カリなどを吸収することで貧栄養な湿原の環境下でも種を紡いでいけるのです。[2012年10月27日撮影:葦毛湿原@阿部]

ホザキノミミカキグサ(穂咲の耳掻き草、学名:Utricularia caerulea L.)はゴマノハグサ目タヌキモ科タヌキモ属の南方系の湿性植物で多年草(本州などの寒さの影響を受ける場所では1年草)。分布は北海道、本州、四国、九州、南西諸島、国外では朝鮮半島、中国、台湾、インドなどに広く、貧栄養な湿地や溜池縁などに自生。草丈は10pから30pほど、葉は葉身数oのへら形の鱗片葉です。穂虫嚢は葉柄や地下茎につき、口部がラッパ状で動物性プランクトンを捕食します。
花期は7月中旬から11月下旬、花茎を細く長く伸ばし、花柄のごく短い淡紫色の小さな花を数段に複数個咲かせます。名前の由来はこの様子を穂状に見立てたことにあります。花は幅3oから5oほどの唇形花、上唇は小さく、下唇はやや大きく、くし型の白い斑紋が入り、下向き前方に突き出た先の尖った距がつきます。果実は球形の刮ハで萼に包まれ、極小の種子がたくさん入っています。

タヌキモの仲間に見られる捕虫方式を袋わな方式といい、水中で袋の中に虫を吸い込む方法のことを指します。他の方法には、モウセンゴケやムシトリスミレのような粘着式、ハエトリグサのような挟みわな式、ウツボカズラのような落とし穴式があります。食虫植物に何がそのような機能を獲得せしめる環境要因だったのでしょうか。それとも全くの偶然なのでしょうか、不思議ですね。


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