マングローブの住人、ベニシオマネキ(紅潮招)

ビーグル号の航海日誌 2012年07月16日 18:51

101011ベニシオマネキ雄@エコカフェ(宮古島).JPG海の日、宮古島の「島尻マングローブ林」は天然記念物で、海水と淡水が混ざる汽水域の泥土にヤエヤマヒルギオヒルギメヒルギ、ヒルギモドキ、ヒルギダマシが生育しています。そこは陸から流れ込む泥や栄養分を含んだ水を受け止めるフィルターの役割を担うため「海の森」とも呼ばれ、特異な多様な生態系を有しています。潮が引くとベニシオマネキなどのシオマネキの仲間が泥土中から現れ、オスは盛んに大きなハサミを振りメスの気をひくウェイビングという行動を行うんですよ。[2010年10月11日撮影:宮古島エコツアー@阿部]

101011ベニシオマネキ大群@エコカフェ.JPG101011ベニシオマネキ雌@エコカフェ(宮古島).JPGベニシオマネキ(紅潮招、学名:Uca chlorophthalma crassipes (Adams et White))は十脚目スナガニ科シオマネキ属の南方系のカニ。分布はインド洋と西太平洋の熱帯気候に広く、日本では南西諸島と小笠原諸島の干潟に生息。甲幅は15oほど、甲羅は鮮紅色から黒色まで変異が大きく、脚は黒色です。オスの鋏脚の左右のどちらかが鮮紅色で大きく立派な鋏になります。食性はプランクトンやデトリタスなどの泥土に含まれる有機物です。小さな鋏脚のみを使って食事をしますが、ちょこちょこと少しずつ移動しながら、土団子をつくる様子は可愛らしいです。いつのまにか干潟は一面にたくさんの小さな土団子が置かれてしまいます。

これらシオマネキの仲間は食事を通じて干潟の御掃除をして綺麗にしているのです。陸上のミミズなどが土壌を豊かにしているのと同じ役割なのですね。今年度も宮古島を訪ね島尻マングローブ林の生態系観察をしようと計画を練っているところです。


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高山植物の魅力(61)、ハイオトギリ(這弟切)

110812ハイオトギリ@エコカフェ(幌尻岳).JPG北海道日高山脈主峰の幌尻岳のお花畑で見たオトギリソウの仲間です。調べるとオトギリソウの高山タイプのハイオトギリではないかと思います。別名にエゾヤマオトギリともいう。日高山脈にはハイオトギリに比べ花柱の長いヒダカオトギリという地域固有変種が自生していますが、ここではハイオトギリとしておきます。[2011年8月12日撮影:幌尻岳@澤尚幸]

ハイオトギリ(這弟切、学名:Hypericum kamtschaticum Ledeb. var. kamtschaticum)はオトギリソウ目オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草。分布は北海道とアジア東北部、カムチャッカに及び、亜高山帯から高山帯の岩礫地や草地に自生。草丈は10pから30p、葉は十字対生し無柄で基部を抱き、葉身3pから5pほどの楕円形かた長楕円形、無毛、全縁で葉脈が目立ち、葉縁に黒点がつく。秋の紅葉は見事です。
花期は7月から8月頃で茎先に淡黄色の径約3pの5弁花が1個ないし数個咲きます。雄蕊は多数で花弁よりも長いのが特徴です。果実は長径約8oの広卵形の刮ハで、熟すと先端が3裂し中から1oにも満たない小さな種子が飛散します。

地域に固有の亜種・変種の報告が多く、アポイ岳の超塩基性岩地に自生するサマニオトギリなどほのかに、本州の中部地方以北の亜高山帯から高山帯に分布するイワオトギリ、本州中部地方の亜高山帯に分布するシナノオトギリなどが知られています。


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高山植物の魅力(60)、エゾツツジ(蝦夷躑躅)

110812エゾツツジ@エコカフェ(幌尻岳).JPG幌尻岳山頂近くに広がるお花場では多様な高山植物を確認することができます。タカネオミナエシエゾシオガマチングルマイワブクロ、ミヤマリンドウ、エゾウサギギクミヤマアズマギクヨツバシオガマアオノツガザクライワヒゲなどで、エゾツツジもそのひとつです。[2011年8月12日撮影:幌尻岳@澤尚幸]

エゾツツジ(蝦夷躑躅、学名:Therorhodion camtschaticum (Pall.) Small)はツツジ科エゾツツジ属の落葉小低木。110812エゾツツジ群落@エコカフェ(幌尻岳).JPG分布はアジア東北部、シベリア、カムチャッカ、アラスカなど広く、国内では本州東北地方北部と北海道に隔離的に高山帯の岩礫地や草原に自生。まさに氷河期の生き残りそのものです。樹高は10pから30pほどで、樹幹は地を這い分枝し斜上、葉は互生し葉身約3pの倒卵形で鈍頭。葉縁や葉裏、柄、萼筒に微毛が生えます。
花期は6月から8月頃で、若枝先に花序を伸ばし径約3pの紅紫色の花を数個咲かせます。花は漏斗状で花冠は5裂し、上側の花弁には褐色の斑点が入ります。雄蕊10本が前方に突き出ます。

エゾツツジはツツジ属のエゾツツジ亜属とする学説もあるが、ここではエゾツツジ属と独立に分類する例に従った。ツツジの仲間は国内でもヒカゲツツジアカヤシオ、レンゲツツジ、モチツツジ、ミヤマキリシマ、ミツバツツジイワヒゲアオノツガザクラなど種分化レベルが高いため最も多様性の高い植物のひとつと言えますね。


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高山植物の魅力(59)、トカチフウロ(十勝風露)は色違い

110812トカチフウロ@エコカフェ(幌尻岳).JPG先にこのブログでチシマフウロ(千島風露)を紹介しましたが、幌尻岳ではトカチフウロも見られるようです。両者の違いはチシマフウロの花弁は淡紅紫色、トカチフウロのは淡青紫色であることから区別することができるそうですが、シールドでは何とも難しいでしょう。[2011年8月12日撮影:幌尻岳@澤尚幸]

トカチフウロ(十勝風露、学名:Geranium erianthum DC f. pallescens Nakai)はフウロソウ科フウロソウ属の多年草。チシマフウロ(千島風露)の種内分類群のひとつ。分布は東シベリア、サハリン、千島列島、アラスカに及び、国内では北海道の大雪山と日高山脈に限り、亜高山帯から高山帯の草地に自生。草丈は20cmから50cmほど、根出葉は長い葉柄があり掌状に5深裂し、裂片はさらに2、3中裂。茎葉は5か7深裂、裂片はさらに2、3中裂するが葉柄は短い。茎や葉柄に伏毛が生えます。
花期は6月から8月頃で茎先に集散花序をだし、淡青紫色の5弁花を咲かせます。花径は25mmから30mmほどで花弁に濃い縦筋模様が入ります。雄性先熟で5本の雄蕊葯が落ちると花柱が露出します。

前にも紹介しましたが、この仲間には興味深いことに地域固有種が多く、本州東北地方から中部地方かけての亜高山帯から高山帯に分布するハクサンフウロ、伊吹山と東北地方の一部に隔離分布するイブキフウロ、岡山・広島・島根などの湿原に自生するビッチュウフウロなどが知られています。


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ヤブデマリ(藪手毬)の花序は柄が長い

110723ヤブデマリ@エコカフェ.JPG前線が九州・四国の日本海側から東北地方に伸びていて南から湿った大気が入りこんでいるため相変わらずの九州地方に加えて東北地方でもは豪雨が心配されています。東京は朝から茹だるような暑さです。今月末には京都大学が管理する芦生の森に出かけます。この季節、ヤブデマリもガマズミも花は終わり小さな果実をつけ始めています。[2011年7月23日撮影:芦生公開講座2011@阿部]

ヤブデマリ(藪手毬、学名:Viburnum plicatum Thunberg var. tomentosum (Thunb. ex Murray) Miq.)はマツムシソウ目スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木。日本固有種。分布は本州、四国、九州に及び、温暖帯上部から冷温帯下部にかけ谷筋や斜面下部の水辺などの湿り気のある落葉広葉樹林縁などに自生。樹高は3、4mほどで樹皮は灰黒色、葉は対生し葉身は5pから12pほどの楕円形か倒卵形、葉縁に鋸歯があり葉先は尖ります。葉脈が主脈から葉縁に規則的に扇状に目立ちます。
花期は5月から6月頃で枝先に長い柄もった散房花序をだし、径約5oのたくさんの小さな両性花とその周辺を取り巻くように径約30oの装飾花をつけます。果実は径5mm前後の扁平球形の核果で8月頃から赤から黒く熟します。

装飾花は花粉媒介者(ポリネーター)である昆虫を呼び寄せる役割を負っているといいます。また、近縁種のオオカメノキは葉や花がとても似ていますが、散房花序に柄がないこと、カンボクは葉が広卵形で3裂すること、ガマズミは装飾花ないこと、などで見分けることができますよ。


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タグ:日本固有種
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高山植物の魅力(58)、ハクサンボウフウ(白山防風)

110709ハクサンボウフウ@エコカフェ(鳳凰三山).jpg南アルプス赤石山脈支脈甲斐駒ケ岳の南に伸びる鳳凰三山の薬師岳小屋近くの砂礫の草地でハクサンボウフウが花を咲かせていました。近くにはマイズルソウも花をつけていました。[2011年7月10日撮影:薬師岳@澤尚幸]

ハクサンボウフウ(白山防風、学名:Peucedanum multivittatum Maxim.)はセリ科カワラボウフウ属の多年草。分布は北海道、本州中部地方以北に及び高山帯の草地に自生。草丈は30pから50pほどで、茎は直立し中空、茎上部でやや分枝し、葉は有柄で単羽状または1、2回3、5出羽状複葉、小葉は葉身2pから5pの広披針形から広卵形で深く裂し、鋭頭で鋸歯がつきます。葉柄は基部が鞘状に膨らみ茎を抱き、茎の節と葉には毛が生えます。
花期は7月から8月頃で、茎頂に複散形花序(全径10pから15pほど)をだし、径約2、3oの白色の5弁の小花を多数咲かせます。小花の花弁の先が爪状に内側に曲がり、総苞片、小総苞片はほとんど見られないのが特徴だそうです。果実は長径約8oの扁平長楕円形の分果で背肋は低く油管は細く多数あるそうです。

セリ科の高山植物の花はどれも似ていて区別が難しく、生育地のほか花序の大きさや形状、総苞片・小総苞片の有無、葉の形状などで見分けることになるようです。


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タグ:日本固有種
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